研究

琵琶湖寄生虫の歴史を語る

先週、今年3本目の受理通知が来ました。昨春の寄生虫学会シンポでの講演内容で、琵琶湖水系の寄生虫に関するレビュー記事です(学会からの依頼による執筆です)。 Urabe, M. Parasite fauna of Lake Biwa water system: A review on parasites using aquati…

実りの年明け

一昨日と今日、立て続けに受理通知が来ました。 Urabe M, Sasai H and Sokolov S. Rejection of the concept of hemiurid genus Pulmovermis (Digenea: Hemiuridae) and and other taxonomic propositions: new morphological and molecular data regarding …

終わりなき遺伝子

3が日の3日目は研究室で次の論文の課題にみっちり取り組む(電話や事務仕事の依頼メールで中断されないのは大変嬉しい)。不慣れなミトゲノム解析なので悪戦苦闘したが、その甲斐あってようやく全体像が掴めてきた。公開されている他人のデータを合わせて…

小さくないぞ

最近はminor revisionと書いてあってもがっつり修正要求される(章段の構成変えろとか)。世の中で定義が変わったのかなあ?

どっかーん

ラボの卒業生が今執筆中の論文の結果がおかしく、先行研究と合わない。外群が違うせい?ちゃんとホモログになってる?とあれこれ検討した結果、最もシンプルで深刻な可能性に到達。 誤同定してるかも(爆死)。

今日のお初

卒論生K君が、今日も良いムシを発見してくれました。正確な同定には遺伝子を読まなければなりませんが、宿主とセルカリア形態から判断する限り、(日本では)かなり貴重な種類と思われます。もちろん私も見るのは初めて。分子同定の結果が楽しみです。

最近の進展

共著論文2報、受理の連絡が来ました。 Ueno K, Urabe M, Nakai K, Miura O. Genomic evidence of reproductive isolation among the Semisulcospira snails radiated in the ancient Lake Biwa. Journal of Evolutionary Biology (in press) 琵琶湖で適応放…

データ獲得進行中

ウチの優秀な魚類採集部隊がまた魚を取ってきてくれて、それから今必要なムシを取ることができた。これで次の論文に最低限必要な種類が揃い、バンザイ。新種1つ、属変更1つ、シノニム1つ、第一中間宿主決定1つを含む結構大きな論文になりそう。がんばる…

第2回ヘビ祭り

今日は某所から貴重なヘビ標本と特定外来種のカエル標本が届き、その解剖をした。ヘビはかなりの大物で解剖には相当時間がかかり(正中線が長いし、腹腔に余裕がなく体壁と内臓塊がぴったりくっついているので神経を使う)、しかも観察する臓器を間違えると…

終わってないの?

フィリピンとの共同研究期間が先月で終わったので報告書の作成中。それで一昨日、先方の主要メンバーとオンライン会議をもったのだが、フィリピン側の方は昨年度の研究費の配分時期が遅れたせいで(私側の研究費の方から少し立て替えた)、研究期間をもう1…

ようやく原因判明

PCR不調の原因がようやく浮かび上がって来た。どうやらサンプルの中に隠蔽種あるいは種内変異があるらしく、プライマーのはまるやつとはまらないやつが混在しているようだ。仕方ないので、手持ちのサンプルで増幅可のやつが何割ぐらいかを調べて、そこから全…

虫ミッション

海外の共同研究者からナマズ寄生の虫のサンプリングを頼まれたので、懸賞金付きで学生にナマズ採取の依頼をしたところ、早速捕まえてきてくれました(梅雨時はナマズ捕獲に最良のシーズンです)。院生のEさんに手伝ってもらい、午後いっぱい費やして目的のム…

お初ムシ

卒論生のK君が、大学校内で採集したある貝から面白いセルカリアを見つけました。私も生きているのは初めて見る、ウナギの寄生虫Azygiaのセルカリアです。全長1mmほどもあり、肉眼でもよく見える大きなセルカリアでした。滋賀ではウナギから成虫は取れている…

模様眺め

今月出てきた某寄生虫の全ミトゲノムデータをあれこれ眺めてみる。これは共同研究者のデータであって私自身解析する必要はないのだけれど、せっかく手元にある訳だから、という理由。それで結局、系統的には一番基幹的という訳ではないけれどあまり近縁のも…

右巻きの寄生虫

共著論文が受理されました。「右巻きのヘビ」で有名なイワサキセダカヘビから得られた新種吸虫です。実はこれ、Hさんから預かった標本を私がずっと溜め込んでいたのですが、Wさん(主著者)が論文にしてくれました(滝汗)。ありがとうございます。 なお表題…

コウモリ祭り

本日はコウモリ研究者の方から標本をご提供いただき、念願のコウモリ寄生虫の採取を行いました。二生吸虫にとってコウモリは重要な終宿主で、形態では多くの種が記録されていますがDNAのデータが非常に不足しており、大幅な分類学的再検討を必要としています…

花を添える

今週初めに学位論文公聴会を行った院生Jさんの学位論文主部が受理されました。教授会での報告に間に合ってよかったです。予備的なミトゲノム解析の論文2本で本学の学位申請基準はすでに満たしていますが、やはり主部が受理済みになっていた方が気分的に良い…

進捗状況不明

もうすぐ博論提出予定のJさんの投稿論文、只今major revisionで一所懸命修正中。と思っていたらJさんが「もう受理されたのではないですか?」と言う。まだだよ、というとeditorからのメールの一部を転送してきた。確かに「has been accepted」とある。しかし…

始動

昨年の修士学生I君がたくさん採集してくれた新種吸虫、DNAデータも出たのでいよいよ記載を始めます。過去に報告はあるのだけれど1個体しか標本がなかったのでsp.止まりにされていた種です。ようやく名前がつけられます。それと同時に、過去に自分が新種記載…

宿題は人任せ

卒業生Tさんの論文が受理されました。日本の両生類(たまに爬虫類)にひろく寄生する吸虫Mesocoeliumの再検討です。これは私がずっと前からヘビの研究者Hさんから標本を提供していただいていた宿題ですが、結局Tさんが国内のいろいろな宿主からの新しいムシ…

サイドワークのつもりが

ウチは院試が来週なのでその準備でバタバタ中。とはいえ、一つ論文が片付いたので次にとりかかる。これはもともと、ウミヘビの寄生虫採取をしているとき「ついでに」とれたヤツで、既に形態記載は十分されていると思われたので遺伝情報だけを論文に掲載した…

謎は謎のまま

今日、多分今シーズン最後の水中カメラ調査予定日だったのだが、またしても雷注意報発令のため船が出港停止となり、アウト。結局、3回ともすべて天候に裏切られてしまう結果となった。普段水中カメラ調査をしているK先生も、この8、9月は相次ぐ台風の接近…

10年越しの

論文が受理されました。 M. Gosho, S. Itsukushima , M. H. Collins, I. T. Dalton, R. B. Rosen and M. Urabe. Molecular phylogenetic position and the life cycle of Phyllodistomum cyprini Feng et Wang, 1995 in Japan, with a note of larval Phyllo…

野生は消える

隣の学科の院生H君の学位論文公開審査会。本人が遠隔地に就職しているのでハイブリッド開催となり、オンラインではこのテーマにずっと取り組んできた名誉教授のS先生や歴代卒業生、オンサイトには共同指導教員だったN先生などお久しぶりのメンツが集まった。…

フィールドワークを終えて

ルソン島中部のカセクナン自然保護区での寄生虫研究の日程が終了しました。多くの収穫を得たとともに、フィリピンで吸虫研究をする際の課題もいろいろ見えてきました。ともあれ、多くの時間と費用をかけて自然保護区内での生物採集許可を取得してくれたUSTの…

職人芸

また古い文献(1960年代)を取り寄せた。例の巨大吸虫の記載ミスを指摘した論文である。まだ読み始めだが、当時としてはとても丁寧な仕事で、観察の難しい生殖器の図がバッチリ書かれているのが大変よろしい。大きなムシは透過光を通しにくいので顕微鏡で形態…

巨大寄生虫!?

今日は午後から乗船調査の予定だったのだが、雷注意報発令のため延期。今週はずっとこんな天気なので多分ダメだろうと予想はしていたが、そのとおりになった。梅雨明けの時期は午前中の時間帯に船を抑えておかないとなかなか厳しい。 今書いている論文は既知…

キャンパスから初報告外来種

関西自然保護機構の機関誌「地域自然史と保全」に、卒論生M君が2回生の時採集したオオクチバスの条虫の報告が載りました。アメリカ大陸からの外来種で、バスを始めとするサンフィッシュ科にはかなり悪さをする種類のようです。今のところ他科の魚に対する病…

悶々

お次は既に発表済み論文の補足的な論文で、これは海外の共同研究者からせっつかれているので急いで書かなければならない。従来、系統的に別とされていた属と以外に近そうという話になったので形態の再観察をしているが、どこが分類のツボなのかさっぱりわか…

島巡り

今日は天気も回復し、1日遅れで共同研究者の皆さんと一緒に島のカワニナ採集に行きました。もちろん船です。 曇りでしたが、べた凪で乗船調査にはもってこいでした。表面水温は23度ほどありますが、ウェットスーツではまだ若干寒かったようです。潜水採集お…