研究

多分70年ぶりぐらいの発見

夜中に米国寄生虫学会(一応会員)のメーリスであるセルカリアに関する問い合わせが廻ってきていて、写真を見ると1950年代の古い論文の線画でしか見たことのないやつ。日本の種と系統位置を比較したいなと思っていたが、最近とれたという報告が全く無いので…

渇水の危機

今日は丸一日時間を作って、卒論生I君のフィールド調査に出かけました。I上川の河床内湧水における底生生物の調査です。 今回は文明の利器、サーモカメラを持参しました。スマホに取り付けて画像から温度を測ることができるスグレモノで、水温の差を面で捉え…

博物館と学際領域

今日はオツトメの後、そのままB博へ移動して同博のプロジェクト研究の報告会。博物館の審査員を引き受けて3年めになるが、過去2年間はコロナで対面での報告会はなしだったので、今回が初めての参加となる。で、数あるプロジェクトのうち今日の発表は5件の…

critically engangered

私の発表は学会最終日の最後から2番目で、お題は最近貝マニアの方々が見つけたマメタニシ類の寄生虫。マメタニシは肝吸虫を始めとしていくつかの人体寄生虫の中間宿主になっていて、医学寄生虫学の教科書には必ず出ている。その一方で、今やマメタニシ(ホ…

ばいおせーふてぃ

今年の実験計画書を大学に提出しようとして、規則に詳しい教員に下書きの確認をしてもらったら、思わぬところでひっかかった。今度、分類学的研究をしようとしている寄生虫は温血動物(ヒト含む)に広く感染する種類なので、それを実験室で生体維持して実験…

貝を食うサル

ResearchGateからアンタの論文が引用されましたよ〜のお知らせ。見るとコモチカワツボ関連の論文だった。久しぶりだな、海外のコモチカワツボ研究者かな?と思ったら、信州大の東城先生のチームの論文で、ニホンザルの糞DNAの解析結果の論文だった。なんと、…

情報収集

今日は初めて魚類自然史研究会なるところでプレゼンテーション。タナゴ類の放流問題と関連して寄生虫の話をという依頼だったが、残念ながら現在までに知られているデータでは、日本産タナゴの種や地域性による寄生虫の違いまで把握できていない。仕方ないの…

南半球からのLiolopidae

夏の米国寄生虫学会にオンライン参加したことがきっかけで共著になった論文が受理されました。 Dutton H. A., DuPreez L. H., Urabe M., Bullard S. A. (2021) Paraharmotrema karinganiense n. gen., n. sp. (Digenea: Liolopidae) infecting the intestine…

標本流儀

昨晩は寄生虫学会北日本支部会の懇親会に参加しました。本来,北海道の会員のみで実施される会ですが、今年はオンラインなので全国どこからでも参加自由。そこで、事務局のS先生が「標本を語り倒す」という、飲みながら標本の作り方について自由にトークする…

食べますか?

まだproofですが、短報がオンライン公開されました。アズマヒキガエルから宮崎肺吸虫の幼体が出たと言う報告です。おそらく待機宿主になっているものと思われます。中国にいる基亜種のスクリャービン肺吸虫Paragonimus skrjabini skrjabiniはカエル類からの…

受理通知来たよ

7月のオンライン米国寄生虫学会がきっかけで思いがけなく共同執筆となった論文がめでたく受理されたという連絡が来ました。大学院生のHさん、仕事が早いです。私が首を突っ込んだせいで大幅に論文を書き直す羽目になってしまいましたが、結果は以前よりずっ…

プレスリリース

8月に出た土田さんの交雑オオサンショウウオ寄生虫相論文を、京大と合同でプレスリリースしました。 こっちが県大で、 www.usp.ac.jp こっちが京大です(内容は一緒です)。 www.kyoto-u.ac.jp 交雑オオサンショウウオの研究については、特別天然記念物でか…

オンラインの成果

先日、オンラインで初参加した米国寄生虫学会ですが、私が未発表データを持っているムシの近縁種についての研究発表がありました。単独ではなかなか論文にしづらいデータだったのですが、向こうのと合わせるとあちらの成果の新規性がぐんとアップすると予測…

これは時間外勤務?

米国寄生虫学会のオンライン大会サイトにポスターをアップロードしました。このサイトでは、ポスター発表者には各自にバーチャルブースが割り当てられ、容量の範囲内で何をいくつアップロードしてもよいことになっています(動画もOK)。ですが、あれこれ考…

琵琶湖固有カワニナが1種増えました

京大の澤田さんと中野さんにより、琵琶湖産カワニナの新種Semisulcospira davisi n. sp., 和名サザナミカワニナが記載されました(Sawada N, Nakano T., Revisiting a 135-year-old Taxonomic Account of the Freshwater Snail Semisulcospira multigranosa:…

20周年

午後の講義の終了後、気合を入れて昨日採集してきたカワヒバリガイの寄生虫検査をしました(明日やるつもりだったのですが、考えてみれば明日は大学の停電日でした)。 カワヒバリの外来寄生虫調査を始めたのは2001年なので、実は今年で丸20年ということにな…

地球の反対側から

大学院生Tさんの修士論文(アルゼンチン留学で集めてきたデータ)が受理されました。魚類吸虫の分類学的再検討で,新種1種の記載を含みます。私にとってはお馴染のゲナ(Genarchopsis)と同じデロゲネス科吸虫です。 Karin Tsuchida, Verónica Flores, Gusta…

違いのわからない女

盆休み中から過去の学生4人が残していったカメの寄生虫類の検鏡を集中的にやっている。少なくとも3種いて、そのうち2種は最低でも日本初記録になる。問題は4種目がいるかどうかだ。遺伝的にはいそうなのだが、どれだけ眺めても形態での差異がわからない…

多景島へ

今日は新しい研究プロジェクトのため、K知大のM先生と学生さん2名が琵琶湖へカワニナのサンプリングに来られました(公共交通機関を使用せず全行程車です)。3日間琵琶湖の各所で会を採る予定ですが、初日の今日は北湖島嶼部のカワニナを求めて「はっさか…

フタゴムシ研究事始め

やっと公開にこぎつけた私達のフタゴムシの分類学的再検討論文ですが、日本の(というよりアジアの)フタゴムシ研究の嚆矢といえば五島清太郎によるフタゴムシDiplozoon nipponicumの記載論文です(下のリポジトリからダウンロードできますので、興味のある…

フタゴムシ論文出版

N君が卒論・修論の3年かけて追求してくれたフタゴムシの新種記載論文がやっと出版されました。オープンアクセスです。コイに特異的に寄生する種なので和名をコイフタゴムシとしました(論文には和名は出ていませんが)。学名は目黒寄生虫館の創設者である亀…

塩素とセルカリアの妙な関係

昨日、近所のカラオケ店が厚労省の注意喚起に従って次亜塩素酸水の噴霧を中止したらしいことを書きました。塩素系消毒液としてもっともよく使われるのは扱いやすい次亜塩素酸ナトリウムですが、過去にこれが自由生活期の寄生虫の生存に影響を与えるかどうか…

UMAだらけ

博士後期課程の院生A君の研究テーマは某カエルの線虫の分類学的再検討なのだが、今春博士に進学したTさんもどうやら線虫をテーマにするつもりらしい。私は線虫は大昔に生態学的な研究を少しやったことがあるだけなので、分類についてはかなり勉強しなければ…

拾い物

昨日はあまり気乗りがせず、論文書きがほとんど進まなかったので、今日はお気に入りのパンでも買って大学に行って仕事しようと、雨の中家を出ました。ところが数分行ったところで、歩道に何やら落ちているのを見つけ、近寄ってみるとハジロカイツブリの落鳥…

寄生虫のお味

今、私たちの研究テーマの一つに「寄生虫が生態系の物質循環にどれほど貢献しているか」というのがあります。このテーマは多くの研究者が宿主操作とか食物網の複雑さなど、いろいろなアプローチで研究していますが、私達はもっと単純(?)に「寄生虫は上位…

新亜種報告

いろいろなミスが重なって遅れてしまったマレーシアの鳥類吸虫Morishitiumの論文がやっと出ました。この属名は日本の寄生虫学者・森下薫にちなんだものです(この日の記事もご覧ください)新種にするかどうか迷ったのですが、ヨーロッパの既知種と地理的に離…

頭痛

あかん、カメの寄生虫調べれば調べるほどカオスだわ…

受理通知

寄生虫の安定同位体論文、ようやく受理通知が来ました。Kさんの卒論(何年前だ)です。 Kamiya E., Urabe M., Okuda N. Do atypical 15N and 13C enrichment in parasites result from isotope ratio variation of host tissues they are infected? Limnolog…

悩みが増えた

5月からムシのサンプリング、PCRとけっこう苦労を重ねたシーケンスがやっと上がってきたので早速解析してみたら何とも不可思議な結果となった。カワニナではお馴染の核とミトコンの結果の不一致であるが、自分が分析した寄生虫では初めて。今回もおそらく核…

有明海の恵み(?)

卒論生のW君に手伝ってもらって九州から送られてきたナマズを剖検。ロシアの研究者から入手を頼まれたムシなのだが、琵琶湖の周辺には絶対にいない(中間宿主が汽水生)種類なので他地域を当たらなくてはならなかったのだ。ムシが採れそうな地域は限られてい…