研究

右巻きの寄生虫

共著論文が受理されました。「右巻きのヘビ」で有名なイワサキセダカヘビから得られた新種吸虫です。実はこれ、Hさんから預かった標本を私がずっと溜め込んでいたのですが、Wさん(主著者)が論文にしてくれました(滝汗)。ありがとうございます。 なお表題…

コウモリ祭り

本日はコウモリ研究者の方から標本をご提供いただき、念願のコウモリ寄生虫の採取を行いました。二生吸虫にとってコウモリは重要な終宿主で、形態では多くの種が記録されていますがDNAのデータが非常に不足しており、大幅な分類学的再検討を必要としています…

花を添える

今週初めに学位論文公聴会を行った院生Jさんの学位論文主部が受理されました。教授会での報告に間に合ってよかったです。予備的なミトゲノム解析の論文2本で本学の学位申請基準はすでに満たしていますが、やはり主部が受理済みになっていた方が気分的に良い…

進捗状況不明

もうすぐ博論提出予定のJさんの投稿論文、只今major revisionで一所懸命修正中。と思っていたらJさんが「もう受理されたのではないですか?」と言う。まだだよ、というとeditorからのメールの一部を転送してきた。確かに「has been accepted」とある。しかし…

始動

昨年の修士学生I君がたくさん採集してくれた新種吸虫、DNAデータも出たのでいよいよ記載を始めます。過去に報告はあるのだけれど1個体しか標本がなかったのでsp.止まりにされていた種です。ようやく名前がつけられます。それと同時に、過去に自分が新種記載…

宿題は人任せ

卒業生Tさんの論文が受理されました。日本の両生類(たまに爬虫類)にひろく寄生する吸虫Mesocoeliumの再検討です。これは私がずっと前からヘビの研究者Hさんから標本を提供していただいていた宿題ですが、結局Tさんが国内のいろいろな宿主からの新しいムシ…

サイドワークのつもりが

ウチは院試が来週なのでその準備でバタバタ中。とはいえ、一つ論文が片付いたので次にとりかかる。これはもともと、ウミヘビの寄生虫採取をしているとき「ついでに」とれたヤツで、既に形態記載は十分されていると思われたので遺伝情報だけを論文に掲載した…

謎は謎のまま

今日、多分今シーズン最後の水中カメラ調査予定日だったのだが、またしても雷注意報発令のため船が出港停止となり、アウト。結局、3回ともすべて天候に裏切られてしまう結果となった。普段水中カメラ調査をしているK先生も、この8、9月は相次ぐ台風の接近…

10年越しの

論文が受理されました。 M. Gosho, S. Itsukushima , M. H. Collins, I. T. Dalton, R. B. Rosen and M. Urabe. Molecular phylogenetic position and the life cycle of Phyllodistomum cyprini Feng et Wang, 1995 in Japan, with a note of larval Phyllo…

野生は消える

隣の学科の院生H君の学位論文公開審査会。本人が遠隔地に就職しているのでハイブリッド開催となり、オンラインではこのテーマにずっと取り組んできた名誉教授のS先生や歴代卒業生、オンサイトには共同指導教員だったN先生などお久しぶりのメンツが集まった。…

フィールドワークを終えて

ルソン島中部のカセクナン自然保護区での寄生虫研究の日程が終了しました。多くの収穫を得たとともに、フィリピンで吸虫研究をする際の課題もいろいろ見えてきました。ともあれ、多くの時間と費用をかけて自然保護区内での生物採集許可を取得してくれたUSTの…

職人芸

また古い文献(1960年代)を取り寄せた。例の巨大吸虫の記載ミスを指摘した論文である。まだ読み始めだが、当時としてはとても丁寧な仕事で、観察の難しい生殖器の図がバッチリ書かれているのが大変よろしい。大きなムシは透過光を通しにくいので顕微鏡で形態…

巨大寄生虫!?

今日は午後から乗船調査の予定だったのだが、雷注意報発令のため延期。今週はずっとこんな天気なので多分ダメだろうと予想はしていたが、そのとおりになった。梅雨明けの時期は午前中の時間帯に船を抑えておかないとなかなか厳しい。 今書いている論文は既知…

キャンパスから初報告外来種

関西自然保護機構の機関誌「地域自然史と保全」に、卒論生M君が2回生の時採集したオオクチバスの条虫の報告が載りました。アメリカ大陸からの外来種で、バスを始めとするサンフィッシュ科にはかなり悪さをする種類のようです。今のところ他科の魚に対する病…

悶々

お次は既に発表済み論文の補足的な論文で、これは海外の共同研究者からせっつかれているので急いで書かなければならない。従来、系統的に別とされていた属と以外に近そうという話になったので形態の再観察をしているが、どこが分類のツボなのかさっぱりわか…

島巡り

今日は天気も回復し、1日遅れで共同研究者の皆さんと一緒に島のカワニナ採集に行きました。もちろん船です。 曇りでしたが、べた凪で乗船調査にはもってこいでした。表面水温は23度ほどありますが、ウェットスーツではまだ若干寒かったようです。潜水採集お…

蛙追い

昨日は卒論生T君のサンプリングで、和歌山県内まで外来種アフリカツメガエルを採集に行きました。ここで駆除・調査を継続しているT高校生物部の活動日に合わせての活動です。 田んぼでカエル(在来種)を採集するT君と、調査地を案内していただいた生物部顧…

魚の名は

今日は琵琶湖博物館のプロジェクト研究報告会への参加。研究内容は生態学(保全)2題、歴史学1題、古生物学1題である。博物館では自然科学・人文科学の広い範囲をカバーしているので、今日はなかったが民俗学や社会学の研究話を聞くこともある。各テーマは…

生ムシのチカラ

一昨日、隣の研究室の修論生が内湖で採集されたニゴロブナを持ってきてくれたので検査したところ、フタゴムシ(まごうかたなき本物のEudiplozoon nipponicum)が7ペアでました。早速生きた虫体を検鏡したところ、そのうち数ペアで消化管内にフナの血が残っ…

バンザイ

今日は「びわこベース」でのサイエンスカフェに参加してきました。演者は、昨年立て続けに琵琶湖固有カワニナ類の分類学的再検討の論文を発表した新進気鋭の大学院生S君。主として遺伝情報が分類の根拠になっています。彼の話では外観でも同定がおよそ可能だ…

初対面

他大学で貝の研究をしている学生さんから、貴重な検体を送っていただきました。検査したところ、こんなムシが出てきました。初めて見るムシですが、これがかの有名なアレなのでしょうか。

また古文書

19世紀のラテン語記載論文来た…というか、著者がドイツ人なんだけれど名前をラテン語で書いている。こういうのを引用する時はどっちなんだろう。リンネもLinnaeusなんだからラテン語形のまま引用でOKなのかな。 論文が「後少しで完成」という境地に達してか…

(再)寄生虫学会自由集会のお知らせ

寄生虫学会がいよいよ今週に迫ってきましたので,改めて「寄生虫生態学・疫学談話会」のアナウンスをいたします。自由集会ですので寄生虫学会員以外でも参加自由です。オンライン参加ご希望の方は浦部まで何らかの手段でご連絡いただければ,ZoomIDとパスコ…

オンライン討論会

今日は、共同研究者のMさんの企画で、最近立て続けに琵琶湖固有カワニナ類の分類の再検討論文を出版した京大のS君を招き、今後のこれらについてのオンライン討論会(でよいのかな?)となった。元琵琶湖研のNさん、元琵琶博のNさん、軟体動物レッドリスト選…

悪あがき

今年、院生のI君に新種の可能性が高い吸虫のシーケンスをしてもらうついでに、過去に私が新種記載した種(当時はまだDNAを扱っていなかったので形態記載のみ)を取り寄せてそちらも解析。ところが、今のところ、後者の配列がどうも別の既知種と近い。という…

第37回「寄生虫生態学・疫学談話会」のお知らせ

今月末の寄生虫学会の前日、3月29日の午後4時30分から,日本寄生虫学会サテライトミーティング・第37回「寄生虫生態学・疫学談話会」を金沢歌劇座において開催します。本年度は以下の2人の研究者の方にご講演を依頼しております。 藤森友太(明治大学大学院…

nanodropで測ったDNA濃度と業者さんが測った濃度が全然違うのはなぜ。

新顔

修士のGさんが新種の吸虫のスケッチに取り組んでいます。私も一緒に観察して間違いがないかどうかのチェックです。

プレスリリース

先月オンライン公開となった土田さんのオオサンショウウオ線虫論文について、滋賀県大と京大からプレスリリースを出してもらいました。 www.usp.ac.jp

泥中の蓮

修士のGさんが新種の吸虫のスケッチをするので標本の選定。染色標本がとても上手にできていて、良い模式標本が選べそう。それにしてもこの新種吸虫はなかなかエレガントで美しい(個人的感想)。魚の泌尿器に寄生する種で、有り体に言えばオシッコの中で生活…