南半球からのLiolopidae

夏の米国寄生虫学会にオンライン参加したことがきっかけで共著になった論文が受理されました。

Dutton H. A., DuPreez L. H., Urabe M., Bullard S. A. (2021) Paraharmotrema karinganiense n. gen., n. sp. (Digenea: Liolopidae) infecting the intestine of serrated hinged terrapin (Pelusios sinuatus), east African black mud turtle (Pelusios subniger), and South African helmeted turtle (Pelomedusa galeata) and a phylogenetic hypothesis for liolopid genera. International Journal for Parasitology: Parasites and Wildlife (in press)

南アフリカのカメから得られたLiolope科の新属新種寄生虫です。学会時は既知属の新種として発表されていたのですが、偶々私がその属の未発表の塩基配列データを持っていたのでそれを提供したところ、別属(つまり新属)であることが確定したものです。私も手持ちのデータを良い形で公表することができました。Liolope科は南半球からの報告が多く、ゴンドワナ大陸起源ではないかと思われるのですが,果たして北半球の2属(LiolopeとHarmotrema)より、この新属の方が根元の方から分岐していました。これから南半球の種の研究が進めば,この科の多様性や分岐がだんだん明らかになってくると思われます。

DOメーターを救え

今週から川虫実習なので,必要な器具を点検していたところ,DOメーターが悲惨なことになっているのを発見。

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DOメーターにはセンサーを収納するホルダーがついているのだが、そこに差し込まれたセンターがなんとしても抜けないのである。よく見ると、センサーを保護する保護キャップがホルダーの中で歪んでしまい、がっちり嵌ってしまっている模様。これはどうあがいても安全に抜くことができないので、仕方なく本体からホルダーを外し、ホルダーを破壊してセンサーを採り出すことにした。プラ鋸とノミを動員して9割方切れ目を入れることには成功したが、まだホルダー全体の破壊には至っていない。疲れたので続きの作業は明日やることにする。

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※その後

センサー救出に成功しました。

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足元注意

「環境生物学I」の授業では、いつも冒頭でに先週の授業内容の重要なキーワードを復習している。そこでは学生を指名して答えさせているのだが,今年は収容定員を減らすために通常教室ではなく交流センターホールを使っている上,学生はマスクをしているので質問に答えても声が聞こえない。そこで仕方なく私がワイヤレスマイクを持って座席を走り回っている。しかしこちらもトシ(老眼)なので、スライドを見やすくするため照明をやや落とした階段席を駆け回ると、足元がどうも不安で仕方がない。そのうち絶対盛大にコケて学生の笑いをとることになるだろう。教員の安全のため,普通の明るい教室で授業がしたい。

野良ML?

うちの公募情報をjeconetで流そうと思ったら、農環研のメールサーバに弾かれてしまった。管理者に理由を問い合わせようと思ったら去年の管理者はもう異動してしまわれたようで、現在の管理者は誰なのやら、調べてもわからない。若い人はもうMLなんか見ていないかもしれないが、それにしても管理者不明のMLというのはいったいどうなっているのだろう。

そういう訳で、これを見ておられる皆様、ぜひ関係者に周知をお願いいたします。締切は11月15日(必着)です。あまり時間に余裕がありませんが、ぜひ多くの応募をお待ちしています。

パーマネントのポストです。

www.usp.ac.jp

プロ仕様

ネズミ退治の毒餌入りトラップを置いてちょうど一週間。餌箱までの通路にサツマイモのかけらを置いて誘引剤にしていたが、やっと毒餌に手を付けた痕跡があった(前回、トラップには蓋がないと書いたが、その後蓋があることが判明。中の状態を確認することができる)。

ワナ設置から1日…トラップの入り口に置いたイモだけが食べられ、通路の中程に置いたイモは残る。この状態が4日間継続。

ワナ設置から5日…通路の中程に置いたイモが食べられ、通路奥に置いたイモは残る。

ワナ設置から7日…通路最奥に置いたイモもなくなり、粉末状の毒餌にまみれた足跡が点々と残る(やったー!)

ネズミ退治の毒餌は蓄積性なので、少しかじった程度では死なないはずで、しかもクマネズミは特に毒に強いと聞く(ドブネズミは弱い)。それで継続してトラップに誘引するため、またイモのかけらを餌箱に追加してやった。イモ片を食べれば必ず粉末状の毒餌も一緒に口に入るし、食べたかどうかの確認もしやすくなる。

ところで、市販のネズミ用毒餌はだいたい粒状なのだが、業者のトラップに入れてあったのは粉末だった。粒状のほうが扱いやすそうなのになぜ粉末を?と思っていたが、トラップの中に点々と残った足跡を見て理由がわかった。粉末状の餌の上を歩けば足や体に付着するので、ネズミは必ず毛づくろいをして毒餌をなめるはずである。つまり、毒餌を積極的に食べなくても、そのあたりを歩き回るだけで毒餌を食べさせることが可能な訳である。餌がしっかり蓋のできるケースに入っているのは、幼児や犬猫が誤って毒餌を口にする事故を防ぐのは無論のこと、粉状の餌が周囲に飛び散るのを防止するという意味もあるだろう。なるほどプロの道具はよくできていると感心しきり。

初乗船

今日は3回生の実習で、恒例の琵琶湖のプランクトン採集に行ってきました。ようやく「はっさかII」初乗船です(学生は別の実習で前期に乗船済みです)。

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旧「はっさか」に比べると船体が3mほど長く、定員も18名から24名に増えました。実際に乗ってみると安定性が断然良いのに驚きます。旧「はっさか」はちょっとした波でもすぐドンブラコとローリングしたのですが、この船はどっしり。これなら出航日も増えるでしょうし、甲板上での作業もはかどりますね。

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出港前にプランクトンネット(こちらも新調)のセッティング。

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観測地点に着いてプランクトン採集と採水をします。後甲板が広く作業も楽々。

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この船はソナーの他に解像度の良いレーダーを備え、湖上の障害物をキャッチできます。琵琶湖を航行するときに気をつけなければならないのはエリ(定置網)なのですが、それがはっきり捉えられているのには驚きました。安全性もぐんとアップです。

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船首と船尾にはウィンチが設置されました。これは嬉しいです。アンカーを下ろした後、引き上げの重労働がなくなりますし(今までは手作業で上げていたので、水深100m近い深所の場合は2,3人が交代で引き上げる必要がありました)、まともなドレッジを曳くことが可能になりました。今度、底生生物の研究をしている研究室でドレッジの共同購入を相談してみようと思います。

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乗船実習は丸一日かかるので弁当持参なのですが、船にコッヘルを持ってきて昼食にカップラーメンを食べていた学生は初めてです(笑)。

 

 

 

 

 

秋の魚捕り

今日は院生Gさんのサンプリングで3ヶ月ぶりに大阪です。狙う寄生虫はこの季節がベストであることがわかったので、今日は何としても虫体を手に入れて帰りたいものです。

 

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Gさんの相棒I君が再び投網で大活躍、大きなコイを7尾捕まえました。寄生虫も無事ゲット。

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秋繁殖のタナゴ類の婚姻色は今が見頃です(残暑のためか例年より遅いと言うことです)。生物多様性センターで飼育されているイタセンパラも、バラ色の体、黒い腹部、青い光班の並ぶ背びれと尻びれのコントラストが見事でした。

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一方で,久しぶりにこの状態の魚の尾を見ました。これはカワヒガイで、外来寄生虫である尾崎腹口吸虫のメタセルカリアが何百もついています。淀川に外来の腹口吸虫は2種いますが、初期には少数派だった尾崎腹口吸虫が近年は増えているようです。