今日は病休教員のピンチヒッターで植物標本作製の実習。今まで3つの大学を渡り歩いて、専門外の実習もさんざんやらされてきたが、植物標本作りを担当するのは初めて(学生時代以来かな?)。ともあれ、同定以外は難しい工程はないのでさっくり進める。専門性の欠ける部分は、本学OBの本職学芸員氏の解説動画を使って補完した。まずはキャンパス内での植物採集だが、「できるだけ花や実のついている個体を採集すること」と注意をして学生を雨の中へ送り出した。今日の実習は環境科学部よりも人間文化学部の受講生が多かったのだが,学生の植物採集を横で眺めているとあることに気がついた。彼らが「花」と認識するのはヒメジョオンとかネムノキ、ぎりぎりオオバコ程度で、イネ科やカヤツリグサ科は勿論、緑色のギシギシあたりもスルーしている。イネ科の穂を指して「これも花だよ」というと「そういうのは花だと思っていませんでした」という返事。一般人への植物学はまずはその当りから始めないといけないとつくづく。ともあれ、今日の実習で「花」と言うものの概念が少し広まってくれたことを期待する。
共食の儀
朝、出勤前に市の保健窓口へ行って英語のコロナワクチン接種証明書(所謂ワクチンパスポート)を発行してもらう。これで海外渡航しても隔離されずに済みます。ぼちぼち英語レクチャーの準備も始めなければ。
夕刻から、学科2回生主催でちょっと遅めの新入生歓迎会。教員の参加が少ないということで最初のうちだけ少し顔を出す。コロナでこういう集まりはなかなか困難だが、今日は学生は生協の仕切り付きのテーブルに着席し(立食ではなく)、飲食物は一人分ずつ小皿に乗せて用意するという形になっていた。それはよいとして、学科のH先生が恒例のお手製フナズシを提供してくださったのだが、これも一人分ずつ小皿に乗せられてラップ。どうやらお皿は参加学生の人数分用意されていたようで、ということはあとで全員が自分の席に置かれたフナズシを食べる羽目になったのだろうか。ウチは県立大学だが学生に滋賀県民は1/3もいないし(過半数は京阪神からの通学)、その滋賀県民だってフナズシを食べたことのある学生はあまりいない。馴れない人にはなかなかハードルの高いフナズシだが、果たして皆無事にクリアできたのだろうか。まるで「秘密結社・滋賀県民」入会の儀式みたいだなあ、と思いながら歓迎会を早抜け。
渇水の危機
今日は丸一日時間を作って、卒論生I君のフィールド調査に出かけました。I上川の河床内湧水における底生生物の調査です。
今回は文明の利器、サーモカメラを持参しました。スマホに取り付けて画像から温度を測ることができるスグレモノで、水温の差を面で捉えることができます。河床内湧水の場所は、冬の間にサーモカメラを搭載したドローン撮影によって把握していました。
ところが、目的の場所についてサーモカメラの温度を見ると水温は25℃以上もあり、本流の温度(20〜23℃)を上回っています。原因はすぐにわかりました。このところの渇水で、湧水の量が減少し、水が淀んで外気温で温まって本流よりも水温が高くなってしまったのです。サーモグラフ撮影で明白に捉えられたのは主に表面の湧水ですがそれらはほとんど全部涸れてしまっていて、川底の湧水の方でなんとか低水温が維持されている状態でした。
昔、カワニナがたくさんいた深みは改修によりブロックが置かれてしまいましたが、その穴からわずかに湧水が出ていました。サーモカメラで測ると…
こんな感じになります。湧水は約16℃と冷たいのですが、ブロックの表面は46.7℃という高温です。ここに水のたまる深みができ、樹木が日陰を作ってくれたら冷水性の動物にとって良いシェルターになるでしょうが、灼熱のブロックに覆われていては水温は上がるばかりでしょう。梅雨もほとんどないまま開けてしまったので、この夏は川の生き物にとっても高温と渇水で厳しいことになると考えられます。
琵琶湖を半周して
昨日、知人のNさんから連絡があった。Nさんもビワマス漁師のOさん(釣り船のオーナー)にサツキマスを注文していて、それが漁獲されたという連絡を受けたのだが「こちらで引き取る前に、寄生虫を取りたいならどうぞ」というお申し出だった。有り難くお受けして、今朝は卒論生のM君と急遽Oさん宅(琵琶湖の対岸)へハラワタをもらいに行った。獲物は全長40センチを超える、よく太って脂の乗ったサツキマスで、Oさんも「極上品」と満足げ。早速計測、写真撮影、消化管の摘出をさせてもらってから大学へ戻った。胃の中にはアユが何匹も詰まっていたのでこれはと期待したが、残念ながら今回も狙ったムシは空振り。以前はあんなにたくさんいたのに、本当にどうしちゃったのかと思うほどだ。何とかして新しいサンプルを手に入れたいのだが。
嬉しい
着任17年目にして噛みしめる、土日も研究室にエアコンが入る環境の素晴らしさ(うっとり)。