影響出始め

実家から帰省禁止命令が来ました。実家のある市とその隣の市で、かなり新型コロナウィルス感染者が出ているようです。実家には余病のある者がいるので、事態が落ち着くまでは外部者との接触を減らすのはやむを得ないでしょう。生態学会も中止になりましたが,現在は少しでもアウトブレイクを先送りにするべき時間稼ぎのフェーズですから、仕方ありません。

付喪神っぽいものたち

今日の午後は化学実験室の大掃除でした。普段は全く立ち入ることのない部屋ですが、運び出された物品を見ると開学当初の教授が使っていたとおぼしいサビだらけの実験器具などもありました。おそらく開学以来まともに整理整頓したことのない魔境だったようです。化学系ラボの教員と学生の皆さん、お疲れさまでした。

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自衛策

実家からあまり遠くない病院で新型コロナウィルスの院内感染が発生したということで,実家界隈の病院や老人ホームでは厳戒態勢となっているようです。来月に誕生日を迎える母のお祝いに行くつもりでしたが,ホームでは事態が沈静化するまで外部からの訪問は禁止だそうです。この分だと実家からも当面は帰省禁止命令が来るかもしれません。

卒論発表会'19

卒論発表会&打ち上げでした。今年は学科長をやっているので、朝から皆よりひと足早く出勤し、会場の準備や進行を仕切る等々のお仕事。プログラム作成はアルバイトのTさんにお願いし、今日は学生諸君にもいろいろ手伝ってもらって助かりました。手際の悪い点は多々ありましたが、ご容赦の程を。

面白かったのは複数の研究室で取り上げたシジミの話題。古環境研究室のS君は貝殻の元素分析で、シジミの殻から生育環境情報を引き出せる可能性をきれいなデータで示してくれた。貝屋の中でもまったく聞いたことのない話だったのでビックリし、これはぜひ貝類学会か関連集会で発表してほしいなと思った。微生物研究室のNさんは外来シジミによる遺伝的浸透の問題で、これは案の定というか、カワニナの例ともよく似た奇々怪々な結果になっている。しかも、外来遺伝子を持ち込んだのは所謂「タイワンシジミ」Corbicula flumineaだけではなく、別の種ものも混じっているらしい。余計にややこしい。

来年度の課題

深く反省しなければならないことができた。

今回の1回生の「環境生物学I」の試験で、白鴎大学の山野井先生の研究をなぞった問題を出してみた。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjbe/59/3/59_150/_pdf/-char/en

設問は「キリギリスの体色は普通緑色だが,まれに鮮やかなピンク色をした個体が見つかる。(1)緑の体色は「顕性」「潜性」「どちらか不明」のどれか。1つ選べ。(2)(1)の回答について,「顕性」または「潜性」と回答した人は、その理由を述べよ。「どちらか不明」と回答した人は、どうしたら判定できるか述べよ。」というもの。レベルとしては中学校理科相当である。もちろん私の講義では「顕性(=優性)」「潜性(=劣性)」は生きていく上での有利・不利とは関係ないこと、誤解を招かないように日本遺伝学会が用語を変更したことを教えている。ただし、ピンクのキリギリスの話自体はしていない。

上記の問題の正解は勿論「どちらか不明」で、判定のためには交雑実験が必要となる。しかし、学生の回答を調べてみたところ,「顕性」と答えた学生が実に70%、「どちらか不明」という正解者が25%、「潜性」と答えた学生が5%だった。そして、「顕性」と答えた学生の大半はその理由として「自然で見られる体色だから」「数が多い」「生きていく上で有利」と答えていたのである。ちなみに上記の山野井先生の論文では、中学生に同様の質問をしたところ「緑が優性」と答えた生徒が75%いたそうである(「劣性」が12%、その他は無回答)。つまり、大学で講義を受けたにも関わらず、「顕性(=優性)」「潜性(=劣性)」に対して誤解したままの学生の比率はほとんど変わっていない訳で、これは明確に私の教え方が悪い、ということである。来年は古典遺伝学の単元をどのように教えるか、授業の組立を根本から考え直す必要がありそうだ。

(2/15) 続報です。この問題(1)の正答率を学科別に計算してみたところ,こうなりました。

環境生態学科(※高校理科での生物選択者は40〜50%程度?)32.1%(n=28)

生物資源管理学科(※同・80〜90%?) 12.5%(n=56)

工学部(※同・ほぼ0%) 57.1%(n=7)

面白いことに、生物が得意な学生の比率が高いはずの生物資源管理学科で正解率は最も低く、3択でランダムに回答した場合よりも統計的に低くなっています。高校までに「なんとなく」身に付いた生物学の知識を一旦ぶち壊すぐらいの勢いで講義しないと効果がないということでしょう。