時間との勝負

私の師匠は後年ほとんど査読付き雑誌に投稿しなくなり、もっぱら紀要で論文を発表していたのだが、それは査読を経て掲載にまでかかる時間を惜しんでいたからである。私も最近、ちょっとその気持ちがわかるようになってきた。分類学者あるあるなのかもしれないが、論文にしなければならない宿題は蓄積する一方で、定年までのタイムリミットが見えてきているからだ(師匠の場合は、少なくとも国内には師匠の分類研究のレベルに文句をつけられる研究者がほぼいなかった、という事情もある)。そろそろ、雑誌のインパクト等よりも時間と労力のコストを考えて投稿戦略を考えなければならない時期に来たようだ。