研究

夏から琵琶湖水系からの寄生虫記録の収集作業に追われていたのだが、今日で一応の完了(というか、打ち切り)。滋賀県の陸水域に生息する,またはその可能性のある吸虫の種数は最低97種(同定ミスの疑いが強い記録を入れるともう少し多い),外来種や海産種…

横川吸虫ってヨーロッパからも結構報告があるのね、知らなかった。遺伝的な研究はされていないようなので、99%日本のとは別種だろうけれど。

寄生虫の学名の後に続けて「○○○ MS」と書いてあって、命名者に敬称をつけるなんて変だなあ、と思ったのだが,最後まで読んでみたら命名者ではなく、標本を採取して同定を依頼した人(女性)だった。著者は紳士なのかもしれないが、紛らわしいことをしないで…

ロシアの研究者から頼まれて,京大にある100年以上前の魚類寄生虫の標本を閲覧しに総合博物館へ出向いた。標本リストには確かにその寄生虫の学名があり、原記載者(川村多実二大先生)が自ら残した標本であることも確かなので,現存していればタイプ標本の第…

環境教育に関する論文が佳境に来ている。この分野で論文執筆するのは初めてなので、教育学部に奉職している共著者の皆さんからのコメントやアドバイスがものすごく勉強になる。OECDの調査によると、日本は科学教育のリテラシーは高いということになっている…

長期解析,ちょっと光が見えてきた。やっぱり、これぐらいの期間になるとlong-term trendをちゃんと分けて考えなければダメなのだな。まずは生データのプロットを睨むことから始めなければ。

フィリピン大学から、寄生虫(鉤頭虫)に感染したティラピアは非感染魚より体中の重金属濃度が低いという研究成果が出た.まだアブストラクトしか読んでいないが,リンクを貼っておく。http://link.springer.com/article/10.1007%2Fs00128-016-1790-y内部寄…

今日は、S水族館で飼育している○○が瀕死であるという連絡を受け,寄生虫の検体とさせていただくために院生のK(大)君と学部生のTさんと一緒に出向きました。これはS水族館と私たちの共同研究となります。 深麻酔した○○を飼育員さんに計測していただきます。…

この春退職されたK先生から預かった横川吸虫属の長期データの解析にようやく着手する気になった。21箇所の漁協から提供されたサンプルの感染強度データは長いところで43年分にも及ぶ(70〜80年代はデータのない年もあるので、連続データとしては26年分)。さ…

一昨日の夕方、某水族館から「○○が急死した」という知らせが入った。こんな貴重な機会を逃すわけには行かないので、昨日急いで滋賀へとんぼ返りして解剖の準備を整え、今日は朝から水族館へ出向いた。 全身の写真を出すと世間から苦情が出そうなので、一部だ…

卒論でフタゴムシを調べているN君。魚を解剖してもなかなかムシが見つからずに苦労していたのだが,今日解剖した魚からやっと発見。どうもムシの密度がかなり低いらしい。ところで、フタゴムシは2匹が出会うと合体して大きく成長し、成虫となるのだが、相手…

ちょうど今実験中のムシが属する科の分子系統の論文が出たことを知り、早速ダウンロードした。実はこの科については、日本産の代表的な種の標本を1セット、アメリカの若手研究者に送ってあり、彼が筆頭となって分子系統の論文を執筆中である(えらく時間が…

昨晩オオッと叫んだのは、あるムシが予想もせぬ宿主から出たからである。このムシの属する科の寄生虫はおおむね節足動物に寄生するのだが(例外的に刺胞動物というケースあり*1),なんとミミズから大量のムシが出てきた。それで、今朝さっそく田んぼからイ…

こんな論文というか、総説が出たので取り寄せ中。これ、両方に名前の入っているChoudhury が旗振ったのかしら。Globe Iの方はちょっとメンバーがビミョーな気もするが(筆頭著者のSさんは条虫の専門家だし、吸虫分類学の大家と言われている人の比率があまり…

近頃、屋久島と奄美で新種の植物が立て続けに発見されて、そのニュースが論文のみならず新聞をも賑わしている。新種というのは生物多様性の正当な評価という点で大変重要な発見であることは言うまでもないし、誰にでも分かりやすい業績である。勿論、関係者の…

紆余曲折の果てにやっと受理された琵琶湖固有カワニナとゲナのマッチング論文、まだ不備はあれこれあるが、ともかく私が滋賀へ来てから最大の成果と言えるものが出せることになった。琵琶湖の中で多様化している固有カワニナの系統を特異的に利用する寄生虫…

昨年卒業した院生Kさんの追加データを取るべく、9月にシーケンスした新しいサンプルのデータを見直してみたら.予想に反して妙な結果になっていて、波形データの再確認で結局1日使ってしまう。うーん、これは非固有種カワニナのデータをもう少し集めて比較…

ポトマック馬熱の病原体ってボルバキアの親戚か!もしかすると、寄生虫も繁殖操作されている可能性あったりするわけ?

今、だいぶ前に買った寄生虫学の教科書を改めて見たら、線虫の生理学のところに「フマル酸リダクターゼ経路」としてちゃんと還元的クエン酸回路が出ていた(見落としていた(汗))。寄生虫がCO2固定するというのは結構よく知られているんですね。これじゃ安…

日本産Cosmocercaの系統

昨年、T内君が卒論で採集した両生類の線虫Cosmocercaの系統が論文になったが、読んでみるとまだまだ疑問の余地が多い。H先生が退職を控えて大急ぎで出版されたのだが、これはまだ予備解析のレベルかと思う。もっと検体も読む部位も増やさないと結論は出せない…

京大大津臨湖実験所の所蔵標本リスト(http://www.ecology.kyoto-u.ac.jp/~nokuda/JaLTER/Biwako.htm)に、大津産「タナゴヤドリムシ」があるのを発見。「川村日本淡水生物学」にも載っている等脚類の魚類寄生虫だけれど、私はいまだかつて見たことがなく、B博…

まだアブストしか読んでいないが、吸虫に感染したタマキビがより小心になる、という妙な論文。要するに一旦フタを閉じた後、再開するまでの時間が長くなるらしい。しかし、それってpersonalityというのかしら。 Parasites and personality in periwinkles (L…

城北わんど魚類採捕

卒論生K君と一緒に、水生生物センターによるわんどの定期外来魚駆除および在来魚調査に同行させていただきました。場所は淀川・城北わんど群。 水生生物センターのI橋さんやO工業大のT田先生がわんどに小型の地引き網を入れます。 学生たちも手伝って網を引…

寄生虫による炭酸同化?

研究メモ。ナマズ虫での研究結果だと、酵素活性自体はTCA回路より逆TCA回路の方がかなり高いらしい。 つまり自前でかなりの炭酸固定を行っている可能性があるのだが、体構成物質のどのぐらいを炭酸固定でまかなっているのだろう?ナマズ虫は鰾の中に住んでい…

同時性の法則

ごるごでら論文のpdfリクエストが来た。そしたら、そのメールに差出人の論文pdfが付いていて、なんと一番比較したかったヨーロッパのドブガイ寄生ごるごでらの塩基配列が出ているじゃないの!ちなみに投稿・受理とも向こうが約一ヶ月早いが、ほぼ同時にヨー…

Limnoperna fortunei will be published in March, 2015

世界のカワヒバリ研究者が結集して書いたカワヒバリ本が、来年3月に出版の運びとなりました。カワヒバリガイの基礎生態から移入様式、防除までの最新知見をこの一冊で。BB君と共著で寄生虫に関する章を担当しています。Limnoperna Fortunei: The Ecology, D…

固有カワニナ類採集

今日は、K大のMさん・Nさんが再度来彦され、夏に採集できなかった島嶼固有種その他のカワニナ類を一気に採集するべく、「はっさか」で多景島、沖の白石、竹生島の3ヶ所を回った。中にはやや深い水深でしか採れない種もあるため、琵琶湖でスキューバ採集を手…

B博のGさんから,来年8月にスペイン・バレンシアで行われる第9回魚類寄生虫国際シンポの案内を頂きました。まだシンポやワークショップの詳細は決まっていませんが,ICOPAよりこちらの方が楽しそう。場所も素敵だし,行ってみたい。http://www.9isfp.com

淀川産コイのゴルゴデラ科吸虫論文が日本寄生虫学会英文誌に受理された。琵琶湖・淀川水系の魚類寄生虫は山口左仲が集中的に調べているので、今回はじめて見つかったコイの寄生虫は,当初は外来種ではないかと疑っていたが,ところがミトコンドリアDNAに種内…

妄想

雨の徒然に,長い間積ん読していた「人と魚の自然史」を読む。意外なことに寄生虫の話が丸々一章出てきた。ラオスの農村で人や家畜の排泄物を利用しての養魚の循環システムをつくったところ,食料生産が順調になったことと引き換えに肝吸虫が蔓延していると…