フィリピン大学から、寄生虫(鉤頭虫)に感染したティラピアは非感染魚より体中の重金属濃度が低いという研究成果が出た.まだアブストラクトしか読んでいないが,リンクを貼っておく。

http://link.springer.com/article/10.1007%2Fs00128-016-1790-y

内部寄生虫,特に鉤頭虫は非常に重金属を蓄積することで知られており、その濃度は宿主組織の数十倍から百倍数十倍に及ぶ。その結果として,寄生虫がいると宿主組織の重金属濃度が下がるのではないかという予測はたやすく思いつくことで,私も以前の卒論生にこのテーマに取り組んでもらったことがある。もしそんな現象が広く見られるのであれば,世界中の重金属の生物濃縮のデータを全部見直す必要さえ浮かび上がってくるからだ。残念ながら、琵琶湖の魚とその寄生虫の系では有意な結果は得られなかった。いくら重金属を高濃度で蓄積するといっても寄生虫バイオマスが小さいので,蓄積できる総量は多くはない。それで、宿主組織への影響まではなかなか検出できないのだろう。どのくらい大量に感染したら宿主への影響が検出できたのか、早く全文を読んでみたい。