昨晩オオッと叫んだのは、あるムシが予想もせぬ宿主から出たからである。このムシの属する科の寄生虫はおおむね節足動物に寄生するのだが(例外的に刺胞動物というケースあり*1),なんとミミズから大量のムシが出てきた。それで、今朝さっそく田んぼからイトミミズとイシビルをとってきて、ムシの入ったカップに放り込んで観察してみた。水生昆虫を入れた場合,ムシは昆虫の体表を2,3時間も歩き回って、その後ようやく潜り込むことが多い。で、ほとんどの場合、潜り込む前にこちらが観察に厭きてしまうので、潜り込みシーンはなかなか見られない。ところが、ミミズとヒルに対してはムシの行動が全く違った。ミミズやヒルの体がムシをかすめると、飛びつくと形容してもよいほどの迅速さで体表に乗り移る。そして、即座に体を丸めて潜り込み体制に入り、決して体表をうろうろ歩き回ったりしない。カップに入れて10分も経たない間にヒルは全身ムシだらけである。昆虫に潜り込むのは例外的な場合で、本来の宿主は環形動物であるのは間違いなさそうだ。

寄生虫だらけのヒル。分かるかなあ。

*1:で、その例外とは造礁サンゴを中間宿主とする寄生虫で,終宿主はチョウチョウウオ。1998年の論文だけれど、私の記憶では,刺胞動物を中間宿主とする吸虫は他にない。