真剣勝負4時間半

県の公共事業評価監視委員会に出席。この委員会はかなり長くやっているが、今日は河川改修と自然再生事業の評価で、つまりようやく私の出番。

この審議委員会は特定の目的で国からついた予算による事業がちゃんと進んでいるかどうかの監視だが、配布資料は、治水事業であれば治水面の進展状況、自然再生事業であればその方面の進展状況だけ。勿論、「環境に配慮したのか?」と質問すれば「配慮しています」という返事が返ってくるが、資料がなければ私は自然環境の有識者としての委員の役割が果たせない(あとで関連資料を送ってくれるとのこと)。審議委員は各分野の有識者が選ばれているのに、相変わらず県の方は川の多面的な機能を全然わかっていないのでは?という感触だった。あと、河川改修事業は事前事後のきちんとした環境アセスがなく、事前調査によって「希少生物が発見されればそれに配慮する」だけだということも判明。つまり、工事の結果がそこの生態系にどのような影響を与えるかについては配慮なしということである。ちなみに滋賀県では多自然川づくりも推進されていないのが実情で、現状では工事をすればするだけ自然豊かな環境からは遠ざかる一方である。

ところが一方で、県の土木課が琵琶湖沿岸の自然再生事業も行っていて、今日はそちらの審議も2件あった。自然再生事業では、たとえば琵琶湖の栄養塩負荷を減らす目的で植生護岸等を施工したりしている。そこで「土木で自然保護や自然再生は可能なのだ」という意識が当たり前になってくれれば河川改修も変わってくるのではないかと期待が芽生えるのだが、まだそこまでは行っていないらしい。「予算とは関係ないですけど、河川改修の方も工事後に植生回復できるような手だてをしておけば、河川からの流入負荷も減らせるんじゃないですか?」と振ってみたら、土木課の皆さんは割とハッとした顔をしていた。制度上の問題かもしれないが、どうも、治水なら治水、自然再生なら自然再生と、予算目的以外の所には配慮が回っていないのでは?という気がする。治水と自然再生を同時に行うような事業に、行政がもっと当たり前に取り組めるような予算や事業計画のシステムが必要なのかもしれない。自然再生は必要に駆られてやるものではなく、可能であればいつでもやってよい事業なのだから。