うおさなだを求めて

今日は、琵琶博の寄生虫ワークショップに参加しているチェコのS教授(条虫分類の世界的権威の方である。さなだ虫の研究をしたいと思っている大学生がいたら、ぜひチェコへ留学して同教授に弟子入りしてほしい)と大学院生のKさんが、隣の水試にコイの寄生虫検査に来られた。以前、岐阜からコイの単節条虫を送って同定してもらったことがあるのだが、それが分類学的にずいぶんユニークなものであることをS教授から指摘された(単節条虫の上位分類群の同定には、ムシを輪切りにして、筋組織と生殖腺の配置を見るのが常道なのだが、コイのムシはこの配置が従来の類型のどれにもあてはまらなかったそうだ)。で、今回はそのムシのDNA用と核型用と組織切片用のサンプルを手に入れるのが目的である。ところが、琵琶博ではコイヘルペスの発生以来、水族館の魚を守るために生のコイを館内に持ち込むのはご法度になったそうだ。そこで、両氏にはわざわざ水試まで足を運んでいただくことになったのである。
私が行ったときには、既に両氏は必要なムシを確保してとりあえず満足そうな様子であった。せっかくなので、Sさんに、私が今までに取り溜めた条虫のサンプルを見てもらった。私は今までS教授の論文を参考にして同定していたのだが、おおむね間違いはなかったのでホッとする。滋賀県の某希少魚にたくさんついていた条虫の種類が判明したのは収穫。以外だったのは、Sさんはほとんど条虫の頭節だけで同定を行う、ということである(私の標本の出来が悪くて、片節の細部が見えなかっただけかもしれないけど)。
明日は、私が以前コイのムシを採集した共生センターへ行って魚の寄生虫を見る予定。今夜は琵琶博のGさんが懇親会を企画してくれたのだが、生憎と風邪が進行中なので今日は帰らせてもらった。明朝ひっくり返ることは何としても避けねばならない。