今度から卒論で条虫を扱うY君が、寄生虫探しの練習をするため宿主の魚を捕ってきた.「生きている条虫は動くから,すぐ判るよ」と解剖を始めたところ、消化管を圧平する前からあちこちで蠢くムシが目に付き、えらく大漁の予感がした。Y君が一渡りムシを探し終わってから残りをチェックしたところ,昨年までの様子とは違い,感染したばかり思われる小さな条虫がうようよしているのに気がついた。中には額嘴がまだ形成されていない,六鉤幼虫とほとんど変わらない形態のものまでいる。苦労して全部のムシを拾い上げると,過去の卒論生が記録した最大感染数の1.5倍ほどにもなった。そう言えばこの季節の宿主を解剖したのは初めてだが,秋に集中的な新規感染が起こるのだろうか。新しい疑問が一つできた。
ドイツのA. S.さんからハリガネムシ記録の別刷りが届いた.本当に仕事の速い人だ.