アドバンテージ

寄生虫学は医学分野の中で発展してきたため、ちょっと前までは研究者は自国語で論文を書くのが普通でした。最初から論文が英語だった山口左仲のような例は珍しいのです。従って日本語や中国語、ロシア語等の重要文献も多く、これが過去の寄生虫学をレビューする時には大きなネックになっています。漢字圏の人間でよかったなあと思うのは、日本語だけでなく中国語の論文も、わずかな努力でほぼ読めてしまうことです。ロシア語は難物でしたが、普通のキーボードからキリル文字を打つことは可能なので、ネット翻訳の進歩でだいぶ自力でこなせるようになりました。こうなると、ネット翻訳を使おうにも漢字の入力ができないアルファベット圏やキリル文字圏の研究者に比べて、日本や中国の研究者の方がはるかに広い文献をカバーできることになります。これは漢字圏研究者の強みだなあとよく思います。

 

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