受理は嬉しい

ロシアの共同研究者から受理通知が来ました。Hemiurus上科の分子系統の論文です。

Sokolov S. G., Atopkin D. M., Urabe M., Gordeev I. I. Phylogenetic analysis of the superfamily Hemiuroidea (Platyhelminthes, Neodermata: Trematoda) based on partial 28S rDNA sequences. Parasitology (in press)

Hemiurus上科は海産種を中心とした大きな上科ですが、私が日本の淡水魚から採集してきたムシの中にもゲナやナマズ虫、ヤリタナゴ虫、ヒガイ虫など多くの種が存在するため、それらの塩基配列も加えて、主要な科のデータを現状で手に入る限り集めて解析した結果です。今まである程度判明していたことがより精緻にわかったということの他、ヒガイ虫の属する謎の分類群・ディディモゾーン科(この日の日記参照)がゲナの属するデロゲネス科に近いということがはっきりしたのが大きな収穫です。ディディモゾーン科の幼生は未だに判明していませんが、どんな形態の幼生なのか、おおよそ予測がつくようになってきました。しかも、日本には世界的にも珍しい淡水産ディディモゾーンが何種類かいるので、多様な海産無脊椎動物すべてを宿主候補にしなければならない海外の寄生虫研究者よりもかなりのアドバンテージがあるはずです。さて、私が現役の研究者でいる間に発見することはできるでしょうか?