卒論・修論の発表準備も佳境である。ところで、卒論のような「はじめての論文」にコメントする時、どのような指導をするかは教員によってかなり差があることと思う。投稿論文並みにきっちり添削する教員もいれば、粗があっても学生の書いた文章を残すようにする人もいるだろう。私はどちらかというと後者である。勿論、きちんとした理詰めの文章が書けることは必要ではあるが、卒論ではまず第一に、自分のやった研究に関して,少しでも広い視点からその意義を理解し、研究の面白さに気付くようになることが一番重要だと思っている。であるから、卒論のイントロや考察では、多少「大風呂敷」を広げるよう学生にカマをかけることが多い。ま、ざっくり言えば「少々粗っぽくても面白いイントロ・考察を書いてみろ」という方針だ。思ったような結果が出なかった、データが少なくて有意性に問題があった…というような事態があったとしても、それを言い訳に,ろくな考察や位置付けもしないような卒論を書くようでは、いったい何が面白くてその研究をやったのかわからない。まず最初は少々ホラを吹いても(無論、話を捏造しろというのではないが)、自分の研究の意義,そこに込められた可能性について熱く語って欲しい。冷静な論理で文章をガリガリに磨き上げるのは、後で投稿論文を書く時にちゃんと指導するから…。