速報が一つ、短めの英語論文が一つ、それぞれ国内誌への掲載が決まって印刷に入りました。
速報は、名城大学4年のHさんが卒論研究の最中に発見したもので、琵琶湖以外のカワヒバリガイからの初の腹口吸虫の発見記録です(次号の「矢作川研究」に掲載予定)。幸い感染率は低く、今のままの状態なら魚病発生の危険性はありませんが、今後モニタリングが必要です。
英語論文は、浜松医大のK先生が20年以上に渡って調べられた静岡県内のメタゴニムス(宮田吸虫など)のモニタリング結果の分析です(次号の「陸水研究」に掲載予定)。複雑な生活環を持つ寄生虫の動態は、関係する因子が多すぎて非常に予測が難しいのですが、水温や水量変動といった粗っぽい河川環境パラメーターでも少しは関連性が見て取れる、という内容です。分析結果自体よりも、河川生物の長期モニタリングの例自体がそう多くはないので、こういう疫学調査データの存在を広く知っていただくことに意義があると思っています。