南草津プリムタウン土地区画整理事業予定地視察


県の環境アセス審査会の仕事で、南草津駅近くの宅地開発予定地の視察に行きました。ここは交通の便が良いため,大規模な宅地開発が予定されています。現在はまだ農地や休耕地が広がる長閑な場所で,空ではチョウゲンボウホバリングし,足下からタシギが飛び立つようなところです。

私は水生生物担当ですが,ここの農業水路は既にほぼ全部が3面コンクリートで,生物相は貧弱でした。ただ,水路の構造を改善すれば、生き物の生息地としてのポテンシャルは十分あるように思います。親水性を高めつつ,生き物も住みやすいように改善できないかと思いましたが、河川改修とは違って民間業者による宅地開発なので、工事費や維持管理費のかさむ改修は難しいということでした。過去の農地改良によって水路の生物相が貧弱となり,その後の都市化で保全の必要なしと判定されて暗渠化という安易な流れはなんとか阻止したいのですが,どのように話を持っていけば良いか,少々悩んでいます。

この地区はJRの線路沿いなのですが,電車の中から見るとなだらかな農地の向こうに湖西の山々がつらなり,なかなか景観のすぐれたところです。前任のアセス審査会委員の方からは「電車の中から眺めて,ここに住みたいと思うような魅力的な町づくりを」という提言がなされたということですが,全くその通りだと思います。水量の多いところだけでも水路を残して、農地の面影を残した自然豊かな町にできないでしょうか。

地区の脇を流れる十禅師川は,本川からの放水路として作られた直線の人工河川です。降雨時以外はほとんど流れがなく,水がよどんでアカミミガメやウシガエルの天国になっています。川に降りられるように一応階段があり,地元の子供たちが遊ぶこともあるようですが、複断面の河床となっていて河道部分は3,40センチの深さがあり,浅瀬がなく,小さい子供が遊ぶにはどう見ても危険です。こちらは宅地整備事業では手を付けないそうですが,地元の方々が環境改善をしようと少しずつ活動開始されているそうです。もともと水流がほとんどない上,あまり上手ではない親水型護岸もどきが既に施工されてしまっているので,環境改善には相当知恵を絞らなければならないでしょう。