初仕事

今年度のパプコメ演習は12月23日に実施しましたが、多忙につき当日のコメントアップはできませんでした。3が日の今日、やっと見直す時間を作りました。

検討材料は昨年と同じく、滋賀県内水面漁業振興計画です。ちなみに昨年の演習結果はこちら↓(一昨年の演習やコメントに対する滋賀県の対応もリンクしています)

今年の演習成果 - 寄生虫ひとりがたり

 

2-(1)漁場環境の再生

(全般的な学生意見)調査に基づき、どの範囲で保全を進めるかを決定すべき。

(浦部コメント)琵琶湖はさておき、河川改修って事前・事後のアセスが必要ないそうです。それでどうやって環境の保全再生をしようというのでしょうね。

(全般的な学生意見)3年間という短い期間なので、マイナーリストレーションを進めるのが適切。

(浦部コメント)マイナーリストレーションは市民活動等で実施するのに向いた手法ではありますが、勿論国や県がやっていけない事ではなく、むしろどんどんやるべきなのです。治水や利水目的の改修であっても、マイナーリストレーション的手法を同時に実施することにより、あまりお金をかけずに環境に配慮した工事ができれば、税金の有効利用という点でもこんなに良いことはありません。しかし、残念ながら、現在の滋賀県にそういう発想はほぼない、と言ってよいです(公共事業評価監視委員としての意見)。

(全般的な学生意見)この計画は一般の人が途中経過を見ることができるのか?結果しか見れないのか?

(浦部コメント)おそらく途中経過を見る審議会はあり、一般傍聴もできます。ただ、開催日時等は県HPでアナウンスされないので(私が所属している公共事業評価監視委員会は2016年を最後に更新されておらず、その後は開催案内はおろか、結果概要さえHPで見られません)、管轄部署に直接問い合わせをするしかありません。

ア 琵琶湖

ホンモロコをはじめとするコイ科魚類の卵が正常にふ化し生育できるよう、湖辺の植生や水位、水温など様々な観点から在来魚の産卵条件に即した増殖環境のあり方を検討する。

(学生意見)植生はともかく水位、水温は検討してどうにかなるものなのか?

(浦部コメント)どうにかなるかどうかは別として、温暖化が進行している現在、水温の問題は重要なので基礎データが必要です。

 

イ 河川、その他湖沼

・農地が持つ水源かん養機能や貯留機能の維持・向上のため、農地の面的確保や保全・整備、農業用用排水施設やため池の適切な維持管理・更新を推進する。

(学生意見)放棄水田が多いと聞く。農地を使うには農家が必要であり、どうやって農家を増やすのか。

(浦部コメント)農地を守る法律って実はあまりないので、農地を維持するには農家がちゃんと経営していけるようにするしかありません。そこまで計画的にやっているのかな?

・(前略)流域での土砂の発生からその有効活用等までの総合的な視点により、河川における魚類の生息環境の保全手法を検討する。

(学生意見)土砂管理ではダムを造ったり壊したりする必要がある。3年でできるのか?

(浦部コメント)やるのは結構だけれど、3年間で何をどこまでやるのか具体性なし。

・(前略)効果的な魚道の整備や維持管理に努める。

(学生意見)魚道を造るより、どこでも通れる状態にする方がよい。

(浦部コメント)まったくその通り。FWで扱っているY倉川の「魚道」を見よ…。

2-(2)森林の整備および保全

(学生意見)農林水産部だけでは手に負えない。他の部署の協力が必要。

(浦部コメント)連携する部署名を具体的に挙げろと実際にパブコメしたけれど、却下されました(怒)。

2-(3)自然との共生および環境との調和に配慮した河川整備の推進

・自然の営力により、それぞれの川が本来有するべき河原、瀬・淵、多様な水際などの川相が形成・維持される河道が創出できるように努める。

(学生意見)河道は人工的に作るのか、それとも元々あったものを守るのか?

(浦部コメント)「自然の営力により」というのがポイントで、そこを飲み込んで川がある程度自由に蛇行できる余裕を作っておけば、一時的に人工河道となっても別に構わないということになります。しかし現実には、河川改修の際の配慮の一つとして「元の流路をなるべく保存すること」というのがあり、それを守ろうとするあまり、流路が動かないようにガッチリ護岸してしまうという困った工事が行われています。

3 内水面漁業の健全な発展に関する事項

(学生意見)一般の人が正しい放流の知識を付けるべき。行政からもっと指導をすべきだし、場合によっては「放流禁止法」の検討を。

(浦部コメント)漁協などがきちんと行う場合を除き、水生生物の放流は原則禁止という考えはもっと浸透させるべきですね。

3-(4)商品開発や消費拡大の取組み等への支援

(学生意見)漁獲量の減少から考えると、消費拡大は難しいのではないか?

(浦部コメント)そうですね。琵琶湖の水産資源は元々の量が限定されているので、大量消費には向きません。その中でなるべく高く売るような工夫の方が良いと思いますね。