2016年最後の授業は恒例の模擬パブコメ。材料は昨年に引き続き,「第四次環境基本計画の進捗状況・今後の課題について」で、2015年のパブコメ版を使用。今年の報告書には河川に関する記事があまりなかったので、1年前のものを使用した。昨年と同様のコメントは割愛する。
P93 第二期水環境改善緊急行動計画(清流ルネッサンスII) 「…全国の一級河川に比べ,清流ルネッサンスII対象河川の方が、環境基準を満足している地点の割合が大きく増加しており…」
(学生コメント)「割合が大きく」とはどのくらいか。
(m-urabeコメント)清流ルネッサンスII対象は全国で12地点(10水系)、一級河川は109水系で、支流などを入れれば1万を超える。これだけ絞り込んで重点的に対策をしてきて、大きく向上しない方がおかしい。
P102 全国水生生物調査「平成26年度は…全体の61%が『きれいな水』と判定された」
(学生コメント)なぜ平成26年度のデータだけなのか。結果のよかった年だけを出しているのでは?
(m-urabeコメント)この調査は、調査地点を固定して行っているわけではないので、「きれいな水」と判定されたのは全体の何%、などというまとめはそもそも無意味。たくさんの調査地点の中で,同じ場所で実施されているものをピックアップして経年的に比較することが必要。そもそも、本当に水のきたない所で子供に調査させたりしたら保護者からクレームが来る。
P107 c)川の流れの保全・回復や貯留浸透・涵養能力の保全・向上、面源からの負荷の削減を目的とする農村部および都市郊外部での取組みの情況
(学生コメント)川の流れの保全についての具体的な取組みがない。
(m-urabe)そのとおり。この項目はほとんどが農水省による汚濁防止の取組みで占められているが、農地による水の貯留・涵養の取組みは何もない(これには私も驚いた)。しかも、「耕作放棄地対策の推進」のような、水環境とは関係ないものまで挙げられていて、なんとかページを埋めようとした?様子が見て取れる。あとは環境省の「地盤沈下対策の推進」「湧水の保全・復活対策」が挙げられているが、前者は河川の保全との関連が希薄であるし、後者には「湧水の把握件数」以外に具体的な進捗状況が記されていない。
P107 家畜排泄物の管理の適正化および利用の促進に関する法律(農林水産省) 「法施行状況調査については,…約99.9%が管理基準に適合との結果である」
(学生コメント)既にほぼ基準が達成されているのなら,この内容を載せる必要はない。
(m-urabeコメント)ページを埋めたかったのかな。
P108 耕作放棄地対策の推進
(学生コメント)面源負荷削減を図るのに、耕作放棄地を農地に戻したら負荷は増えるのではないか。
(m-urabeコメント)ページを埋めたかったのかな。
P110 図表III-4-17「全国の地盤沈下地域の面積」(年度別推移)のグラフ
(学生コメント)平成23年東日本大震災による大規模な地盤沈下)の値が大きすぎてその他の年の実際の値がわからない。
(m-urabe)地下水の汲み上げを制限して地盤沈下が起こらないようにしているという話なのに、このグラフでは東日本大震災の影響しか読み取れない。