宇治川歩き

去年までBB君がしていたカワヒバリガイの定期調査だが,もう10年以上もデータの蓄積があるので打ち切るのも何だし、とりあえず今年もデータの蓄積だけはしておこうと宇治へ出向いた。ところが,平等院の参道を横切って川に近づくと,ただならぬ轟々という水音。まさかの100t/S放流中であった。このところまとまった雨は降っていないので、それほど流量はあるまいと高をくくっていたのだが,甘かった。宇治川は以前から流量確保のために河床を掘り下げているのと,昨年の豪雨と今年の台風被害の改修のため、そこらじゅうが工事中であり,川にアクセスできる場所が非常に少なくなっている。それに加えてこの水量では完全に採集はアウトだ。放流量の少ない日を狙ってまた出直すしかない。

以前,定期サンプリングの場としていた浅瀬は掘り下げられて,その分岸が埋め立てられて新しい護岸になった。水量確保のためとは言え,護岸からすぐ底も見えない深さというのはかえって危なくないだろうか。そのうちここも立ち入り禁止になってしまうのかな。

ここはBB君のセルカリア調査地点だった所で、たしか昨年8月の豪雨で崩壊した場所。まだ土嚢積みである。

塔の島の右岸はずっとフェンスが張り巡らされており,以前はよくモロコ釣の人々がいた下流端の浅瀬にもアクセスできなくなっていた。おそらく,これから右岸側の掘り下げをするのだろう。安全のためには仕方ないのかもしれないが、ますます宇治川が放水路っぽくなる気がする。日本有数の観光地だというのに,なんとも無粋。

今の宇治川を端的に表すとすればこの1枚かもしれない。川に降りる階段はあり,その下は整地されているというのに,手前はコンクリートの擬木柵で塞がれ「あぶない 水の中に入らないで」の看板が立つ。ウチの大学に宇治川の景観づくりに関わっている教員がいるはずだけど,どんなことをしているのかな,とちらりと思う。