謎のフナ

天気が良くなったはいいが暑く、多分30℃を超えている。今年はここ100年で最高の暑さだという。昨日のドライブ疲れと相まって自律神経がバテてしまい、暑いところにいると体温が上がってしまってしんどくなる。
午前中は古顔の研究員レナさんから研究の話を聞く。彼女はマメタニシ類の吸虫の研究者、同じ種の寄生虫が地域によって異なる種のBithyniaに寄生するのだという。なんか私の研究と同じような話なので、そりゃ隠蔽種かもしれないから遺伝子調べてみたらと勧めると、おカネがないということ。
昼前にオガワコマドリチョウゲンボウを見つけてひとり盛り上がる。
午後は気温と体温の上昇でかなりばてていたが、ミーシャ君がとってきたローチとへんなフナを解剖してみる。ナターシャさんが魚類寄生虫のリストをくれたがずいぶん種数が少ない。吸虫の成虫はAllocreadiumだけだ。ローチ4尾、フナ1尾を解剖したが、出てきたのは目玉寄生のDiplostomumのメタセルカリアだけで消化管は空っぽ。

わかりにくい写真だが、ローチの目玉の中にシストのないメタセルカリアが20匹ぐらいついている。
フナはずいぶん寸詰まりの妙な体形なので学名を聞いたら、Carassius auratus gibelioで極東からの移入という。

Carassius gibelioと言えば少し前までギンブナの学名だった。さらに魚類研究者のレナさん(上記のレナさんとは別人)に話を聞くと、在来種のC. auratus auratusは3倍体で全部メスだが、移入のC. auratus gibelioは2倍体で、ロシアの淡水魚検索図でもそうなっているという。ユーラシアのフナの分類体系がどこまで統一されているのかさっぱりわからないが、かなり混乱する。
Diplostomumのメタセルカリアだけ圧平してエタ固定。ナターシャさんと固定の方法論についてあれこれ情報交換。
夜、バーニャのあとで、宿泊しているロシアの学生たちはたき火でコイのバーベキュー(この辺のロシア人にはコイ科魚類はかなり好まれる)をしながら、星空の下ギターを弾いて興じている。確かに、寝るにはもったいないほどの快適な夜。宿泊棟に戻るまでにペルセウス座流星群の流星を7つ見る。