今年から集水域を対象とした学生実験が始まるので,K茂先生とI上川の下見に出かけた。まず1回目にK茂先生が河川の地形に関する実習をやり、その後に連続して私が底生生物の実習をやる。ご存知のように底生生物の分布に河道地形は非常に重要なので,最初の実習で作る地形図をそのまま流用させてもらおうという魂胆である。
大学近辺のI上川は、実は普段は底生生物の多様性があまり高くないところである。とにかくヒゲナガカワトビケラ一色なのだ。ところが今年は2度の大出水に見舞われたせいでヒゲナガが一掃され,代わりにカゲロウ類やカワゲラ、シマトビケラ類の若齢幼虫が卓越してきた。もちろん、河川地形そのものもまったく変わってしまっている。そこで、今年から実習をスタートさせれば,これから数年間で河床の安定化にともなう生物相の遷移過程が見られるだろうということになり、あえて大学近くでデータをとってみることにした。
ここは3年前(この日)と同じところである。川筋が変わり,向かって右側にあった主流路が完全に埋まってしまった。左側の堤防の根元が心配なほど深くえぐられている。
中洲の上には天寿を全うしたアユの死骸が煮干しの袋をぶちまけたごとく積もっている。木曽川ではアユの産卵期には鳥が何百羽と集まってくるのだが,琵琶湖周辺ではカラスさえ来ずに放置されている。まあ、どこもかしこもこんな状態だし。
スナヤツメも天寿を全うしていた。
新しい中洲の上にイノシシの足跡があった。河畔林に住み着いているのだろう。