私の発表は学会最終日の最後から2番目で、お題は最近貝マニアの方々が見つけたマメタニシ類の寄生虫。マメタニシは肝吸虫を始めとしていくつかの人体寄生虫の中間宿主になっていて、医学寄生虫学の教科書には必ず出ている。その一方で、今やマメタニシ(ホンマメタニシ)は絶滅危惧1A類で、その他の種類もすべてレッドリスト入りするほと個体数が減少している。こうなったのは別に最近の話ではないようで、実は日本のマメタニシの寄生虫の記録は1960年代、ヒメマルマメタニシは1930年代を最後に存在していない。それほど、肝吸虫のセルカリアは見つけにくいものになってしまっているのである。私の今回の検査でも、当然ながら肝吸虫は出てこなかった。ところで発表後に複数の人から「肝吸虫って、もう絶滅したと思う?」と聴かれた。人体症例にについては文献を集めていなかったが、どうもそちらから見ても絶滅寸前らしい(ネットでざっと調べたところ2011年の症例があったが、それより新しいのは見つけられていない)。ということは肝吸虫もレッドリスト入りしなければいけないはずだが、どうなのかな。