空振り

ここのところ腹口吸虫の感染率は低下しており、もう7年ほど魚病の発生は見られていない。ところが今年は暖冬で、こういう年は魚病リスクが高いので、久しぶりに様子を見に行ってみることにした。寒波が来て水温が急降下した時がセルカリア発生の狙い目なので、雪の中、のろのろ運転のバスと電車を乗り継ぎ、いつもより1時間ほど余計な時間をかけてU川に行った。
ところが現地に着いてみると、先週とは打って変わって放水量が多く、優に50t/sはありそうだった。セルカリアの密度は放流量と反比例するため(当たり前だ)、水量が多いと吸虫症は発生しないのである。とりあえず水サンプルは取って帰ってきたが、帰学後にチェックすると今日の放流量は80tもあった。寄生虫が薄まるのは魚にとっては良いことだが、見つけにくくなるのでこちらにとってはちょっと困る。さっそくサンプルを検鏡してみたが、残念なことにムシは見つからなかった(先週、水温8℃台の時のサンプルからは、少数見つかった)。BB君の調査結果では、セルカリアの大量発生はかなり短い時間内(1日程度)に限られるので、ピークのタイミングを外したか、放流増加のためにスパイクが見えなくなってしまったかのどちらかだろう。ともあれ、完全に空振ったことは間違いない。
そう言えば登録配列の翻訳コード、DDBJの方で勝手にTable 9に直してくれていた。ご親切に。