初仕事

新年おめでとうございます。初仕事は、昨年暮れの授業で行った恒例:模擬パブコメです。本年度の叩き台は令和3年10月版「滋賀県内水面漁業振興計画(原案)」でした。ここ数年扱っている計画ですが、昨年10月に次期5年間の計画案が出され、実際にパブコメのため公開されたものです。

https://www.pref.shiga.lg.jp/file/attachment/5278168.pdf

以下は学生諸君による主な指摘点と、私のコメントです。

L253 アユの冷水病やエドワジエラ・イクタルリ症による漁業被害を低減するため、河川放流用アユ種苗の保菌検査を推進する。

(学生意見)5年程度の期間で感染症の対策をするのは困難であると思われ、アユ自身にも様々な疾病の懸念があるのに放流を検討するには早すぎるのではないか?

(m-urabeコメント)今、各地の河川で琵琶湖産のアユ種苗の導入を止め、自前の種苗を放流するようになったのは各地の遺伝子資源の保全という観点からも良いことなのですが、滋賀県は相変わらず他県琵琶湖産アユ種苗を売ることを考えています。もうやめればよいのに。

L265 オオクチバスブルーギルについては(中略)多様な手法を組み合わせた効果的かつ徹底的な防除や再放流禁止のための取り組みを実施する。

(学生意見)バス釣りをする人たちに対する注意喚起や条例の整備に関する記載がない。

(m-urabe)これは琵琶湖レジャー条例(琵琶湖保全再生課の担当)などとの共同施策が必要となります。せっかく外来魚ポストなど作っているのだし、もう少し踏み込んだ取り組みについての記述があってもよいですね。

L302 (前略)内湖本来の機能の保全および再生を推進する。

(学生意見)具体的な面積を。

(m-urabeコメント)同感。

L309 水草を摂食するなど環境保全に役立つ在来魚の放流を推進する

(多数の学生意見)在来魚だから、環境保全に役立つからという理由で放流してよいのか?また具体的な魚種や量は?推進ではなく「検討」とすべきでは?

(m-urabeコメント)経済魚種ならともかく、放流で生態系保全を達成しようという発想がそもそもバツ。放流せずに済ませられるならその方が良いし、在来魚であっても、放流には慎重な事前サーチと事後モニタリングが必要。

L327 (前略)流域での土砂の発生からその有効活動等までの総合的な視点により、河川における魚類の生息環境の保全方法を検討する。

(学生意見)土砂移動を妨げるようなダムへの観点が不足しており、土砂移動の方法が検討されていない。

(m-urabeコメント)せめて「土木課と共同で」の一言でもあればもう少し現実味が出てくるのですけれど、水産課だけでこの取組できるんですかね?

L339 国が示す「多自然川づくり基本指針」および滋賀県の河川整備計画に基づき…

(学生意見)このような事業では周辺住民のパブリックコメントが非常に重要なものとなることも多い。これを積極的に受け入れられる制度・体制の整備も重要である

(m-urabeコメント)(同感のあまり涙)

P19 令和7年度の目標とする指数 遊漁者数35,000人

(学生意見)R2年の現状は32,900人だが、R1年は24,900人。R2年の急増はコロナの影響とも考えられるので、目標35,000人は過大な目標ではないか?

(m-urabeコメント)ちゃんとデータを見て考えた鋭い指摘(笑)。そうだよね。