真の人材交流を

今朝、委員ではないのだが科目の分担担当者ということで学芸員課程の会議を傍聴。今まで、近くの公立博物館の学芸員の方に「博物館展示論」の講義の一部をお願いしていたのだが、兼業規定の関係で担当ができなくなったらしく、同じ講義担当者が頭を抱えていた。実は博物館関連講義の担当についてはウチの大学設立時から紆余曲折がある。日本の博物館の大部分は公立だが、公務員は原則として兼業を禁止されているので、現役学芸員を非常勤講師として雇い、賃金を支払うということがほぼできないのである。そのため、学芸員に授業講師を(無理に)お願いするときは報酬無しのボランティアとなり、当の学芸員にとってはただの迷惑でしかない。なお、今回の学芸員の方はボランティア講師は喜んでやってくださっていたのだが、毎週の講義となると公務員の職務免除規定に抵触するということでのお断りだった。昔は学芸員課程の科目が少なかったので、大部分の講義科目は大学教員でなんとかなり、博物館にお願いするのは実習ぐらいだった。しかし、平成24年のカリキュラム改革で「博物館展示論」「博物館資料保存論」など、実務経験のある人でなければそもそも担当不能な科目が増やされ、大学の専任教員だけで授業をこなすことが非常に難しくなってしまった。今更のように、あのカリキュラム改革は大学博物館や博物館学の専門家を抱える大規模大学だけしか学芸員課程を設置できないようにするためだったのだな、と思う。しかし、大学で講義をすることは博物館にとってはもちろん直接的な人材育成であるし、さらに学芸員の中にはいずれ大学へ転職したいと考えている人も少なくないだろうから、教育業績は履歴にプラスになるはずだ。大学の教員は専門職ということで他大学での講義が認められているが、学芸員もそれに準じる専門職であるからぜひ堂々と大学講師を兼任できるように制度改革してほしいものである。これは文科省に訴えるべきなのかな?