陸水学会企画シンポ「環境教育と陸水学」終わりました。今の陸水学会は昔と比べてよく言えばアカデミック、悪く言えば学問至上主義の傾向が強くなって来ているので、研究者から一方的に「陸水に関する教育はこうあるべき」という押し付けにならないよう、講演者選定は気はつけたつもりです。現職の先生から適当な演者を探すことができなかったのは残念な点ですが、教育学部所属の陸水学会員、水質指標に関心の高い元環境コンサル社員の方、教育現場を取材する新聞記者の方から、それぞれの問題提起をしていただきました。そこで浮かび上がった現状は、一言でいうと、環境教育としても理科教育としても、かなり悲惨な状況です。水質一辺倒の取り上げ方の問題点はいつも指摘している通りですが、肝心の水質さえ、小中学校ではまともに教えられていない現状が明らかになりました。「水をきれいにしましょう」という動機付けはたくさん行われているのに、「では、きれいな水とはどんな水ですか?」という説明が極めて貧弱です(大学1年生に同じ質問をしても、しっかりした答えが返ってくる確率は数パーセントです)。また教科書にとどまらず、水に関するアヤシイ言説が巷に溢れている中で(発信者は個人とは限らず、国や市町村のこともあります)、それらにどう対応するかという科学リテラシーの問題も深刻です。今後、学会として継続的な取り組みが必要となるでしょう。

写真は学校教育におけるEM菌問題について報道した、朝日新聞のN記者による講演。