ラスト鳥巡り

朝食後、サーシャさんが小チャニー湖まで行くというので、今回初めてロシアに来た大学院生のH君と一緒に同道させてもらった。この旅行で本湖へ行くのは初めてだ(周辺に高地がまったくなく、渇水で水面が遠のいているので、岸からは水面の写真を撮ることさえままならないのである)。

放牧中の牛や馬が湖の岸辺にやってきた(お気に入りの写真なのでちょっと大きく)。
小チャニー湖は直径約20kmの円形で、琵琶湖北湖の半分ぐらいの面積だが、平均水深は1mちょっと。たいていの場所では背が立つわけだ。しかも今年は少雨で水位が下がっているので、ボートが2度座礁した。

サーシャさんの話では、今年は乾燥していて野火が発生し、繁殖に失敗した鳥が多く、コンディションは悪いとのこと。今日はペリカンもツルも目撃出来なかった。唯一、オジロワシがかなり近くを飛んでくれたのを堪能した。

私のコンパクトカメラでもこれだけ写せた。
あとはアカアシシギとエリマキシギがいた。エリマキシギは繁殖羽ではないので見た目は他のシギと変わりなく、ちょっと残念だったが、サーシャさんは結構執拗に狙っていた。

ボートの上に立ってエリマキシギを狙うサーシャさん。恰好良いです。

実験所に帰った後、H君がぼそっと言うには「僕、小チャニーを見に行ったはずなんですけれど、なんだかお二人の鳥見に付き合わされていただけのような…」。ま、良いってことよ
午後からはナターシャさんとセルカリア標本の作り方のプロシージャについてまた情報交換。あと1種類のセルカリアを検鏡しようとしたが、貝がムシを出してくれず諦める。レナさんがBithyniaから出たPshilostomatidaeを見せてくれた。初めて見る科なので面白い。以前、琵琶湖から1回だけ見つけたあのセルカリアってこれに似ているのかしら。
夕食時に、サーシャさんと魚・寄生虫の両レナさんに名刺を渡したところ、私の肩書きのDr. Sci.でやや物議を醸し、どれだけの成果を挙げればこの学位が得られるのか、かなり詳しく訪ねられた。以前、ナターシャさんから聞いて知っていたが、ロシアの学位は二段構えになっており、大学院を出てすぐに取得するのはPhDで、Dr. Sci.は大学院生を何人か指導して学位を出した後に初めて授与される、「教授よりも偉い」学位なのだ(それとは反対に、大学院の履修年限は短いのでPhDは少し「お安い」学位らしい)。それでナターシャさんともども、日本のDr. Sci.は事実上PhDと同じだということを説明する。