セルカリアと対面

曇り時々雨、かなり寒くてフリースが要る。たぶん最低気温は15℃を下回った。
S先生たちは水槽にヒーターを設置してセルカリア生産量の実験準備。私はナターシャさんから材料の棘口吸虫科セルカリアを見せてもらう。最大の種はけっこうでかく、小型のミジンコが泳ぐのにそっくり。体長は300〜500μmというところか。小型種でも100μmぐらいは十分ありそうである。

貝の殻長が約5cmなので大きさの目安に(なってないか)。
午後からナターシャさんたちが実験に使う貝を取りに行くという。貝の生息環境を見たかったので同行したいというと、最初は「自分と学生とで行くから」と言われたが(その理由は後で判明)、股長はあるというとOKしてくれた。
貝の採集場所はステーションのすぐ裏のチュリム川の氾濫原らしいヨシ帯で、アッケシソウが生えている。その中に分け入っていくと、ここも水位低下のため死殻が累々ところがり、生きているのはオカモノアラガイばかり。小型のモノアラガイ類は同じLymnaea属だけれど、日本のRadixやAustropepleaによく似ている。水のあるところまで前進しようとすると、先行しているナターシャさんたちは膝のずっと上まで泥にはまりながら進んでいる。これは、慣れないと足を取られて身動きできなくなりそうなので、私と、普通の長靴しか履いていなかったS先生はそれ以上進むことを諦めた。普段より水が少ないため、堆積物の深い水たまりの中心近くまで前進しなければ貝が捕れない状態になっていたのである。

やがてナターシャさんたちが数十個のモノアラガイを採集して戻ってきたが、水量が減って低酸素化が進行してきたため(泥の表面から数センチ下は還元層になっていて硫化水素臭が強い)、10日前と比べても貝が減ってきたとのこと。貝にとってもこの夏は過酷な気候らしい。