院生に、4年生の卒論草稿への赤ペン入れをさせた。今日、その草稿をちょっと見せてもらったら、「貝が寄生虫に感染していた時」という文に対して「貝が寄生虫に感染されていた時」ではないかというコメントがついていた。おいおい間違った日本語に直してどうするんだよ、と思ったが、ちょっと考えてみると、なぜ間違いなのかを説明するのはそれほど簡単ではなさそうな気がしてきた。
「貝が寄生虫に感染される」とか「人がウィルスに感染される」という言い方は明らかに変で、「貝が寄生虫に感染する」「人がウィルスに感染する」が普通だろう。この場合、「感染する」は状態動詞である。ところで、もちろん「寄生虫が貝に感染する」「ウィルスが人に感染する」もOKであって、この場合「感染する」は動作動詞となる。全く同じ構文で語順だけを逆にして、しかもどちらの内容も「正しく」表現出来てしまう訳だ。こういう場合、状態動詞か動作動詞かを見分けるのには内容で判断するしかないことになる。しかし、文法的に、両者をきちんと区別する方法はあるのだろうか。たとえば、もし本当に貝が寄生虫に感染する(動作動詞)ような場合には、どう表現したらそのことを間違いなく伝えられるのだろう。仮に誰かが「ややこしいから、『感染する』は動作動詞としてだけ使う!」と独り決めしてしまうなら、この院生のコメントみたいなことになるわけだ。誰か日本語文法に詳しい方、解説していただけないだろうか。