貝類学会

2年ぶりで貝類学会に出席した。Yurlovaさんも一緒。
午前中のセッションで、関東地方に移入したカワヒバリガイの詳しい情報を聞く。琵琶湖や木曽三川と違って、関東では貝が何層にも重なり、25〜30センチもの厚さに達しているらしい。これは、大陸で報告があるように、水道管を詰まらせたりするという危惧が現実のものになってきたということだ。西日本以上に大問題になるかもしれない。
昼休み、Yurlovaさんに自分の研究についてのプレゼンテーションをしていただいた。チェニー湖のあらましは昨日聞いたが、今日新たに聞いたことは、感染を受けた貝は秋口になっても底質中に潜ることが少ないということである。彼女の研究している寄生虫は貝が第一・第二中間宿主の両方を勤めるので、終宿主の鳥類は貝を食べて感染するわけだから、これは宿主操作のきれいな一例かもしれない。
午後から、YurlovaさんとK谷さんは、お嬢ちゃんが楽しみにしていた水族館を見に行かれた。私はそのまま学会会場に残存。
午後、N大の4回生という学生Sさんがやってきた。今調査をしている干潟の貝から寄生虫が出るので、それで卒論をやってみたいと言う。聞いてみれば、ほとんど過去に調査例のない種類の貝なので、どんなセルカリアが出るやら、私にも全くわからない。とりあえず、帰ったら文献検索はしてみよう。
お次はQ大のM隈先生で、輸入野菜にくっついて来たらしい外来の陸貝に寄生虫がいないかという問い合わせである。これもわからないが、貝が野菜に付着していると言うことは、もし寄生虫がいれば、野菜もろとも人の口に入る可能性があると考えなければならないだろう。これも文献検索の宿題。
ポスター発表で、神奈川県のK高校の生物部によるタイワンシジミの研究結果の発表を聞く。本来自家受精・雄性発生するマシジミが、水中に放出されたタイワンシジミ精子によって発生するかどうかという研究が現在進行中だそうで、これはとても注目すべき実験である。雄性発生という特質のため、もし「他家受精」が生じるとなると、生まれた子貝の遺伝子は完全にタイワンシジミのものとなり、「トンビがタカを生む」ならぬ「マシジミがタイワンシジミを生む」ことになるからだ。雄性発生と言う繁殖様式がどうやって進化したのかよくわからないのだが、一方的に、非対称に遺伝的駆逐が起きるような状況である可能性があるわけだ。
また、その高校のS先生から、最近はカナダのバンクーバー辺りからもシジミが輸入されていると言う話を聞いた。北米にはかなり前にアジアからシジミが入って、厄介な外来種になっている。それを輸出できるのは向こうにとって万万歳だが、日本にしてみれば、こんどは北米産の貝がシジミ随伴生物として入ってくる可能性が出てきたということだ。お次はゼブラガイの日本侵入か。
学会後の飲み会ではK藤さん、sataniiさん、院生K君、図鑑作家のNさんと同席。楽しゅうございました。