共同研究者から魚と貝が送られてきたので、卒論生Sさんに手伝ってもらって剖検。コイの若魚がたくさんあったのでこれはと思っていたら、果たして排泄器官から寄生虫が出てきた。寄生場所からみてごるごでらの類であろうとは思うが、ナマズやウナギのそれとは全く形が違う。とにかく丁寧に標本にする。
それから、循環器系から十年ぶりにサンギニコラを発見した。この属のセルカリアは日本には普通に見られ、おそらく広く分布していると思われるのだが、成虫の記録は非常に少なく、学名がきちんと付いているのはウグイに寄生する1種だけである。その理由は、このムシは住血吸虫の一種であるため、浸透圧の変化にきわめて弱く、宿主が死ぬといくらもたたないうちに崩れてしまうからなのだ。私が十年前に見つけたムシは、生のまま検鏡しようとしてもたもたしているうちに破裂してしまった。今度こそ速攻で固定液に放り込む。
お次はカネヒラ吸頭条虫が2匹。模式産地が巨椋池なので、だいぶ前にヨーロッパの研究者から琵琶湖水系のサンプルを依頼されていたのだが、普通種のわりにここらではなかなか採れなかったムシである。これでやっと送れる。