T邦大のTさんから、関東地方のコモチカワツボに関する最新論文(外来水棲腹足類コモチカワツボ(新生腹足類:リソツボ上科)における日本初の雄性個体の発見ならびに新産地。Molluscan Diversity 2: 60-68. 2010)の別刷りをいただく。主著者はおなじみK高等学校生物部の皆さん。すごいぞ。
コモチカワツボは,原産地では有性生殖個体と単為生殖個体が混在しており,寄生虫感染耐性や変異の蓄積スピードと繁殖様式の関連に関する厖大な研究がある。ただし外来種として侵入している地域で雄が発見されることはまれで、北米の1地点の個体群で比較的普通に見られることが報告されているだけである.だからこの報告は侵入地域での有性個体群(雄がそこそこの比率で出現する個体群)の報告としては世界で二例目ということになる。原産地から有性個体が独自に侵入したのか,それとも何らかの生態的理由で(ミジンコみたいに)雄が生まれるようになったのか、どっちなのだろう。だれか追求してみないだろうか。ちなみに有性個体群の生息環境は,コモチカワツボの生息環境としてはかなり特殊な場所である。