ある人から、論文の書き方に関するクレームが来たので、それに対する返事を書いた。毎度同じことを言ってばかりだけれど、学生諸君のためにコピーを貼っておく。

研究の動機は何であれ、プロの研究者は、自分の研究成果の学術的または応用的意義を社会(学会、一般社会いずれの場合もあります)に対してきちんと説明する義務があります。プロの研究者の研究費の大部分は、大学公費であれ科研費であれ、国民の税金だからです。「…をした研究はまだない」という位置づけでは、それこそ「庭の石を数えること」を代入しても成り立ってしまいますから、研究の意義を説明したことにはならないのです。論文のイントロダクションでは、世の中のあまたの未知のことがらの中で、なぜそのテーマを研究する価値があるのか(もっと直截に言えば、それに税金を費やす価値があるのか)、きちんと述べられていなくてはいけません。
 もし、著者が自費で研究をしているアマチュア研究者であれば、私はこのようなことは一切申しません。自費の研究であれば、社会への成果の説明義務など関係ありませんから、論文の位置づけが不完全でも、結果に見るべきものがありさえすればOKという判断をします。