今週から3週間、分担の講義や実習が一挙に回ってくるので予定がかなりタイトであり、加えて今日はゼミ発表でもあった(このところ更新頻度が低いのはその所為)。とりあえず一山越えたのでほっとする。
久しぶりにLivelyのチームの研究(コモチカワツボと吸虫の共進化)に関する文献紹介をした。それにしても、彼らがフィールドでこの種の研究に成功したのは、彼らの材料であるコモチカワツボとMicrophallusの両者がかなり短いライフサイクルを持っているため(だいぶ前にご本人から直接伺った話では、Microphalllusの生活史は1〜2ヶ月で回るらしい)短期間で遺伝子頻度の動態を追えることと、調査地の生物多様性が低いために寄生虫の種類そのものが少なく、宿主ー寄生者関係を1対1でとらえることにほとんど問題がないことがキーポイントだな、とつくづく思う。少なくともカワニナの関与する吸虫を見ている限り、寄生虫の一世代の長さがたいていずっと長い(宿主自体が4〜5年生きるため、セルカリアが1年以上出続ける場合もざらにあると思われる)し、寄生虫の多様性も高く(コモチカワツボ寄生虫ニュージーランド全土で15種程度だが、カワニナ寄生虫は琵琶湖水系だけで30種近い)、吸虫同士の間にも種間相互作用があるような状態なので、状況が相当違う。どうも、コモチカワツボ寄生虫のようなケースは、どの貝ー吸虫の系でも見られるというわけではなく、かなり特有な状況のような気がする。