産経新聞

トキ放鳥でダニ復活に注目

http://sankei.jp.msn.com/science/science/090305/scn0903052123002-n1.htm
鳥類などの大型生物の減少や絶滅は人目につくが,その寄生生物の保全はなかなか注目されない.その中で,これは嬉しいニュースである.こういうニュースが一般に報道されることで,生物の保全は単に種の保存をすればすむ話ではなく,その生物をとりまく他の生物や,さらには非生物的環境までに及ぶのだということがひろく認識されるようになってほしい.
トキの寄生虫といえば,寄生生物保全ネットワークのページには,トキウモウダニの他に棘口吸虫の一種Petagifer tokiが挙げられている.単一宿主に寄生するトキウモウダニと違って,こちらは中間宿主をたぶん2種(第一中間宿主として巻貝,第二中間宿主として魚・カエルなどのトキの餌生物)もつため,飼育下にあるトキで生活環を維持できている可能性はほとんどなく,再発見される可能性は低い.でも,もしこの寄生虫がどこかで生き永らえていて,野生復帰したトキからまた見つかったとしたら,その時が,真にトキが再び生態系の一員となった日ではないかと思う.がんばれPetagifer toki,生態系の生き証人.