鳥話

今日は,春に着任したH先生や鳥師匠S川さんたちのつくる琵琶湖ラムサール研究会の研究集会があり,私もこの辺のことはさっぱり疎いので勉強のために聞きに行く。まあ,私が一番聞きたかったのは,今日の集会の趣旨である条約締結後の保全活動のことではなくて渡り鳥の移動経路の話であり,つまりそれは鳥の寄生虫の分散範囲だからだ。鳥の寄生虫は,形態で見る限りコスモポリタン的分布を示す種がかなりあるのだが,中間宿主の貝の方は鳥ほど分布が広くないのが普通で,違った地域の寄生虫は少しずつ違った貝を使っている。今,他大学の方から寄生虫の種分化の研究をしたいという相談を受けているのだが,こういう中間宿主の違いが同じ種の寄生虫の宿主適合性の広さを示しているのか,それとも実は既に地域ごとに異なる遺伝子プールになっているのか,終宿主の鳥側の分散範囲のデータが必要なのである。今日は残念ながら,そういう話はほんの少ししか出てこなかったのだが。
しかし,水鳥は生態系の上位種だから環境保全のキータクサに値するという理屈なら,明らかに水鳥の寄生虫のほうが水鳥より上なんですけど,今日の主メンバーはみな鳥屋さんだったもんで,「水鳥の寄生虫保全しましょう」とはちょっと言いにくい雰囲気ではあった(と思ったんですけど,どうです,S川さん?)。