感染実験を開始。ムシを提供するのは,S井君に取ってきてもらったヌマチチブである。最初は餌の乾燥赤虫をうまく食べられなかったらしく,かなりの個体が死んでしまったが,餌を冷凍オキアミに代えてからはとても食いが良くなり,死亡率をほぼゼロに抑えることができた。今日は,実験に使える貝の個体数がまだあまり多くないので,必要な卵数はおよそ3000個,ムシはだいたい200匹ぐらい入用なので,それを提供するヌマチチブは20個体である。解剖してみると,どのヌマチチブもたっぷりと太り,肝臓が脂肪で真っ白である。食べ過ぎだ。
解剖してみて思ったのだが(今回の実験とは関係ない種だが)Coitocoecumの感染率が100%だ。確か,1999年頃に琵琶湖博で寄生虫調査をやった時は,この種はほとんど出てこなかったように記憶している。この寄生虫の中間宿主はミナミヌマエビなので,琵琶湖では,おそらく例のシナヌマエビの増加と機を一にして増えたのではないかと思う。今,カワニナのセルカリア相の調査をもう一度やったら,10年ほど前に行った前回の調査とはかなり異なる結果が得られるかもしれない。そう言えば,今回実験に使うGenarchopsisだって,こんなに琵琶湖に蔓延したのはヌマチチブの侵入後で,昔は少なかった可能性が高いだろう。