午前オツトメ,帰宅後,昨晩寝足りなかったので昼寝。はっと気が付くと夕方の5時,今日は日のあるうちにヌマチチブの世話をしなければならないので,しまった!と飛び起きて大学へダッシュ。急に起きた故の低血圧か,頭がフラフラしている。
昨日は淡水貝研で,院生K君の車に便乗して大阪へ。
今年は発表7件,参加者30人弱で,ここ3年間では一番の盛況であった。大教大Mさんは幼生糸をもつマツカサガイのグロキジウムの生態。吸虫のなかにも同じようなヒモ付き卵やヒモ付きセルカリアを作る種類がいくつかあるが,寄生生態に共通点があるのだろうか。soishidaさんは博物館のプロジェクトYの結果から軟体動物に関する部分を。ふと思ったのだが,奈良盆地の環濠集落遺跡や古墳の濠あとから淡水貝って出土してるんじゃないかしら。貝類学会にも来られていた画家Nさんは,東京都におけるホタル再生の市民活動の紹介。あとの懇親会で話した事だが,東京都心部は,残されている自然(特に淡水環境)が非常に乏しいのは言わずもがなであるが,加えて,その土地生まれの人が住民に占める割合が低く,区役所の役人さんでも1割くらいだという。つまり大半の人はよそに「田舎」を持っているので,都心部にわざわざ失われた自然を復元しようという意欲は起きにくい。加えて,東京は都市化の歴史が他の地域よりはるかに古いため,復元の目標がイメージしにくい(たしか,柳田国男が大正か昭和初期に東京で行った講演の中で,シカやサルのような哺乳類は身の回りではずっと前からお目にかかれない,というようなことを言っていた)。この辺なら昔の自然のことはお年寄りに聞けば手軽にわかるが,東京ではそうはいかない。そういう困難の中で,東京出身で本当に「地元」を愛し,東京に育つ子供たちの環境を考えるNさんたちのグループの取り組みは,地道で粘り強い。実は私ももとの本籍は東京で,オバアチャンの生家はNさんの活動拠点である文京区なのだが,残念ながら「故郷」とか「田舎」という意識はほとんどない。今はまだ小さな取り組みだが,「故郷である東京」の姿がこれからどのように形づけられていくのか,関心を持って見守りたい。
北大Aさんは北海道のカワシンジュガイ幼貝の生存について。どうやらカワシンジュガイと宿主ヤマメの間にははっきりしたlocal adaptationがあるらしい。それならばカワシンジュガイ地域個体群の保全には,ヤマメ地域個体群の保全が必要なことになる。共進化と保全生態学の研究には格好の材料,ぜひ遺伝的な研究を。岐阜大Kさんはドブガイグロキジウムが付着した時のヨシノボリの行動変化?について。うーん,まだ半信半疑。
名古屋のTさんが神奈川県で採集したチリメンカワニナを見せてくれた。アイソザイムと胎貝形態でやはり琵琶湖と同様に2種類いるという。近々模式標本を見られそうなので,この種の正体についてようやくツメに入れそうだ。でも,「やっぱり不明」で終わりそうな気もするが。
懇親会でsoishidaさんからダーウィン展開催決定までの経過などを聞く。館の方で決める通常の企画展とは違い,読売新聞社からの「持ち込み」なので,異例な事がいろいろあって大変だったらしい。恐竜展とどちらが集客できるか,ちょいと関心。
帰りは大阪で米原行きに接続する最終列車に乗り損ね,急遽一番ホームまで走って「きたぐに」に飛び乗り。危うく余分な外泊を免れる。