湖北早春

今日は,今シーズンまだ一度も出向いていない湖北野鳥センターに行ってみることにした。
米原から先,近江塩津行きの普通電車に乗ると,一気に乗客のリュック保有率が上昇(無論,私も貢献)。河毛駅で手動ドアをよいしょと引き開けて下車する。7,8人の降客があったが,風体からして全員が野鳥センター行きらしい。
尾上までは路線バスで20分ほどである。もうすぐ野鳥センターという山本山の麓まで来た時,なんと道端に,突然クルマと迫撃砲(望遠レンズ付きカメラ)の列。おおっ?と色めき立つ乗客に,バスの運ちゃんが「ここ,オオワシいるんですわ」と説明し,一挙に車内のテンションが上がる(ただの路線バスなのに…)。山の中腹を見上げてみると,枯れ木のてっぺんにいたいた,さすがにでかいので距離があってもよくわかる。「ほらあそこ,いますよ」と窓ガラスごしに指さして見せると「ええっ?どこですか?」と立ち上がって窓に殺到する乗客たち。「あっ,いたいた!」と大喜び,そこになぜか運ちゃんの「羽根を広げると2.5メートルありますわ」というガイドがはいる。さながら遠足バスのように盛り上がる車内(繰り返すが,ただの路線バス)。
野鳥センターに到着,さすがにシーズンの休日なのでごったがえしている。今後もここには何かとお世話になることがあると思い,職員の清水さんという方にご挨拶。今年は東北地方の寒波のため,琵琶湖は水鳥が多いという話であった。コハクチョウは残念ながら今月に入ってからほとんど見られていないらしい。常連のオオヒシクイのほかにマガンが数羽いる。
野鳥センターで情報を仕入れてから外をぶらぶらと散策。今日は暖かで波が静かなため,鳥が沖合の方まで分散してしまい,近くにはあまりいない。突然,上空から「クヮン,クヮン」というガンの鳴声が聞こえ,見上げると,薄日の差す空をバックに10羽ほどのオオヒシクイが至近距離を舞い降りてくるではないか!絶好のシャッターチャンスを逃してしまい,なんかくやしい。
さて,今日は野鳥センターだけで帰るつもりであったのだが,2月の週末は観光用に臨時バスが長浜〜木ノ本間で運行されていることがわかり,それに乗ればもう一ヶ所こなせそうだったので,バスで木ノ本駅に出,そこから今津へ行くことにした。N君が卒論で確かめてきたコモチカワツボの分布地を一応見ておこうと思ったのである。ついでに,その近くにあるザゼンソウ群生地も見に行った。
今津駅の観光案内所で地図をもらい,レンタサイクルを借りてザゼンソウ群生地へ。なんか観光の目玉らしく,道の至る所に「ザゼンソウ群生地→」の看板がある。おかげで迷わないで済んだ。極め付きは,群生地最寄りのバス停の名前が「ザゼンソウ前」(笑)。
コモチカワツボがいるという川はすぐにわかった。しかし,岸がかなり急で,そのうえ積雪があるため,今はかなりアクセスしづらい。まずはザゼンソウ保護地内の湧水にコモチカワツボがいるかどうか見ることにする。といっても,湿地内は木道以外立ち入り禁止なので,木道から手の届く範囲でしか採集ができない。目をこらして水中を見,木道から手を伸ばして石や木の葉を拾ってみたが,カワツボはいなかった。ちょうど,20年来ここの管理をしているという近所の方がおられたので聞いてみると,他所から植物などを持ち込んだことはないという。ホタルを放していないかどうかも聞いてみたが,もっと下流の方でなら保護活動をしている地域もある,という程度の話であった。どうやら,このザゼンソウ群生地自体はカワツボ移入源ではないようだ。

明日は,天気が良ければもう一ヶ所のカワツボ移入疑惑地点へ行ってみる予定。