渇水の危機

今日は丸一日時間を作って、卒論生I君のフィールド調査に出かけました。I上川の河床内湧水における底生生物の調査です。

今回は文明の利器、サーモカメラを持参しました。スマホに取り付けて画像から温度を測ることができるスグレモノで、水温の差を面で捉えることができます。河床内湧水の場所は、冬の間にサーモカメラを搭載したドローン撮影によって把握していました。

ところが、目的の場所についてサーモカメラの温度を見ると水温は25℃以上もあり、本流の温度(20〜23℃)を上回っています。原因はすぐにわかりました。このところの渇水で、湧水の量が減少し、水が淀んで外気温で温まって本流よりも水温が高くなってしまったのです。サーモグラフ撮影で明白に捉えられたのは主に表面の湧水ですがそれらはほとんど全部涸れてしまっていて、川底の湧水の方でなんとか低水温が維持されている状態でした。

昔、カワニナがたくさんいた深みは改修によりブロックが置かれてしまいましたが、その穴からわずかに湧水が出ていました。サーモカメラで測ると…

 

こんな感じになります。湧水は約16℃と冷たいのですが、ブロックの表面は46.7℃という高温です。ここに水のたまる深みができ、樹木が日陰を作ってくれたら冷水性の動物にとって良いシェルターになるでしょうが、灼熱のブロックに覆われていては水温は上がるばかりでしょう。梅雨もほとんどないまま開けてしまったので、この夏は川の生き物にとっても高温と渇水で厳しいことになると考えられます。