ということでフィリピン陸水生物多様性シンポ第1日目。昨日NAIAで落ち合ったセントレアの名付け親、および台湾のZさん(名前は聞いたことがあったが初対面)と同じテーブル。周囲を見渡せばLaguna de Bayプロジェクトの面々ばかりらしい。基調講演は香港大学のD先生、淡水生物多様性の危機についての総括的な話で、大学の授業ネタになりそうなものがいろいろあったのでメモをとる。日本ではイシガメの輸出に規制がかかったばかりだが、中国で主に薬用として売られている淡水ガメの7〜8割は国外産(大部分は密輸かな?)だとか。
午後は2つのセッションに分れ、一つがフィリピンの湖の生態についてのもので,もう一つがアジアの陸水生物多様性。両方とも興味があったけれど、私自身が後者のセッションでの発表なので、そちらの部屋にいることにした。タアル湖固有の淡水イワシ(サッパと同属)はフィリピンの海産の同属種に近縁のものがおらず、一番近い種は台湾にいる。ウツボカズラの捕虫葉に住み着くカニがいる。フィリピンを初め東南アジアの川では、エビやカニの多様性は非常に高いらしい。あのように元々が汽水棲とか回遊型である生き物は,淡水域に入りこみ、そこに留まることによって容易に分化するのであろう。
私の発表は、事前にちゃんと予行練習をしておかなかったので時間不足になってしまい、スライドを一枚飛ばしてしまった。まあ、私の後にJ君がフィリピンの魚類寄生虫研究の背景について喋ったので,あれでフォローしてもらったようなものかもしれない。あとで質疑応答の時に「魚の研究をしているが,寄生虫を見つけたらどのように保存しておけば良いか?」というような質問が二人から出たので,きっとJ君は新しいサンプル入手ルートを確保することができるだろう。彼がシンポで喋った目的は達成したというものだ。
今日のプログラムが終了した後は、大学博物館のあるメインビルディングへ移動。ここで、今日から2ヶ月にわたってタアル湖の生物についての特別展示が行われることになっており、その開会式であるタアル湖の生き物を紹介するパネル(もちろんJ君のこしらえた寄生虫についての展示もあり)、フィリピン各地の湖の紹介パネル、そしてタアル湖の生き物のミニ水族館である。
例の淡水ウミヘビは2種類いるということを初めて知った。どちらも絶滅危惧種であり、生体を見られるのは非常に貴重な機会である。淡水イワシは死にやすいということで展示にはなかった。そのほか、淡水のタイがいるということも初めて知った(もちろん美味であり、希少種にも関わらず非常に高値で売買されているとのこと)。
しかし、フィリピンのセレモニーって、一昔前の日本のようにスピーチが長い…。