この夏に1回生たちがPROGテストというものを受けたそうで,今日、その結果の集計値を見る機会があった。このテストはジェネリックスキルを測ると謳っているもので,リテラシー能力やコンピテンシー(他人と上手くやっていく能力っぽいもの)を測れるのだそう。今回、ウチの大学では初めての利用なので受験料無料だということで,9割ぐらいの1回生が受験した。テストと言っても,「正解」は若手ビジネスマン4000人のアンケート結果から決めているのだと言うから、要するに「あなたのビジネスマン度テスト」という訳である。しかし,ビジネスの世界を希望する学生が就活セミナーなどで適性検査として受けるならともかく,必要なスキルなんて学問分野ごとに違うもの。それを「お宅の学生の平均値は全国平均と比べてXXです」などという結果は無意味だし,平均値で示すというのは,何だか大学生活で培われる人間性まで工業製品のように規格化されるようでイヤだなあ,と思いながら業者の説明を聞いていた。しかも,そんなことって大学が旗振って教育することじゃないだろう。ウチの大学の創立時,社会での能力が高い学生を育てるというようなことを目標に掲げたら、それを聞いたある社長さんが「社会に出てからのことは我々が教育する。大学では基礎学力をしっかりと身につけさてくれ」と反論したという話を思い出した。そういうもんだろう。揚げ句の果てには業者が配ったテスト結果の資料をめくっているうちにグラフの差し間違いがあるのに気がついてしまい(同一のグラフが別の結果を示すものとして使われていた),その瞬間に資料を見る気が失せた。他人のリテラシーを測る人たちがグラフの間違いを見抜けないようでは…。願わくば企業や自治体がこんなテストを採用資料に使おうという気を起さないことを。
ま,もし大学教員がコンピテンシーテストを受けたら,確実に学生より低い得点になるでしょう(笑)。専門馬鹿ってそんなもんですよ。