第6回環境科学セミナー

環境科学セミナーが下記のとおり開催されます。近年の水田・農村生態学をリードする愛媛大学の日鷹一雅先生が来学されます(水田生態に関心のある学生の皆さん,お待たせしました!)。セミナー後には本学教員・学生による日鷹先生歓迎研究発表会と懇親会を予定しております。どうぞ奮ってご参加ください。
なお,1時からはバングラデシュのタレック先生による東南アジアの水質汚染に関する講演もあります。こちらもよろしく。

講師:Dr. S. M. Tareq  (ジャハンギルナガール大学環境科学科(バングラデシュダッカ)、助教

演題:「Arsenic poisoning in groundwater of Southeast Asian countries: A critical public health problem」
(講演は英語で行われます)

講演内容:
バングラデシュスリランカをはじめ地下水を飲用している東南アジア諸国では、地下水に含まれるヒ素の人体影響が深刻な社会問題となっている。水中ヒ素の地球化学的・環境化学的研究に携わってきた講師が、東南アジア諸国におけるヒ素の濃度分布、被害、原因と対策について現状と展望を語る。

会場:B0会議室
日時:12月19日(水)13:00〜14:00


講師:日鷹 一雅(ひだか かずまさ) (愛媛大学農学部・農学研究科 生物資源教育学コース 准教授)

演題:「水田生物多様性保全・再生ストラテジ」

講演内容:演者は、1983年から水田を主な研究フィールドにした生物群集に構造解析や有害・有益・ただの生物・絶滅危惧種の個体群動態について、科学的な博物学的手法を武器に現場の学究を進めてきた。講演では以下の質問について考えてきたことを紹介したいと思う。
 1)そもそも水田生物多様性って何だろう? その成り立ちを考える
 2)農業・農村に依存した種はいるのか?
 3)水田生物多様性を守るにはどうしたらいいか?
最近、環境省に続いて農水省生物多様性国家戦略を提唱しはじめた。しかしそこでの内容は農耕文化的な視点による実態が乏しいか、欠落してしまっている。冬期に水田に水を張る、魚道を整備する、減農薬や有機栽培する。これらの個別的な環境農業技術の選択枝が増えることがいいが、ブームに乗った万能主義的扱いは、永年培われてきた在地の農生物多様性を攪乱しかねない。丹念な博物学的フィールドワークと予測性のある近代生態学・生物学の科学的手法が総合化され、水田生物多様性の診断と治療が順応的に管理されることが常道であろう。

会場:B0会議室
日時:12月19日(水)14:00〜16:00

※ひきつづき同会場において,本学の教員と学生による水田・農村生態学に関する研究発表会を行う予定です(16:00〜18:00)。