審査会など

B博で,分類学総合研究Pの来年度研究計画の審査会があるということなので,出かけてみる。発表の任はもちろんプロジェクトリーダーのG氏にあるので,私は同席するだけなのだけれど,この総合研究が県の方からいかなる評価を受けているのか,イマイチわからないところがあったので(審査員にはウチの大学の某教授も含まれているので,その筋からチラとは聞いていたけれど),参考のため傍聴しに出かけた次第。
B博につくと,いきなりG氏が,共同研究者N氏が今日不在なので,彼の研究成果のスライドの説明文を(日本語なので)読めという。中身はわからないから棒読みだよ,と断って審査会場へ。審査員は鍋翁はじめ10人ほど。G氏が目的とチームの構成,昨年度の成果について20分ほど説明し(代読みはしなくてすんだ),そのあと質疑。大きな点は3つ,メンバー構成とそのP内ポジションについて,予算の立て方について,それから専門家のいない分類群をP内でどう扱うかについて。漏れ聞く昨年の審査会での意見と比べると,こういう質問内容ならまだ「優しい」部類に入るような気がする。とにかく約一時間で審査会は終わり,そのあとG氏と,同じく博物館のS氏と審査会の内容について少し話し合う。個人的には,琵琶湖の生物相の全体像を把握するためことが目的として必要で,そのために総説を作成することは重要なんじゃないかと思ったが,これを計画に含めることは昨年の審査会で拒否されて,生データを収集する方にウェィトが置かれたらしい。ま,それなら計画書が分類群の羅列っぽくなるのも致し方ないか。
審査会後は貝の補充のため宇治へ。その前に京都駅でB博のキャンペーン中(10月21日からの直流化ダイヤ改正に合わせて,滋賀県のキャンペーンをやっており,その一角に博物館のコーナーもあるのだ)のM田さんに会い,現在博物館で保管中の,取り扱いに注意を要する某貝の引き取りについて話し合い。
車中で論文捏造 (中公新書ラクレ)を読みつつ宇治へ。NHKによるドキュメンタリー。駆け出しの若い研究者の妄想(?)を止められなかった研究組織とジャーナル編集部の話。もっとも,この本で取り上げられているのは,本人が確信犯で捏造したというよりは,事実と空想の区別があいまいな病的心理に,業績を焦る周囲が乗せられてしまったというべきケースである(捏造を企てるにしては,調査委員会への弁明が間抜けである)。もっとありそうな,捏造が発覚しても組織的に内部事情を隠蔽するというケースを取材してほしかった。評価は星三つ。いずれにせよ大学で何か事件が起きた時の学内調査委員を勤める場合もそうだが,こういうアカデミー内事件への対処のハウツーって,研究組織の「常識」となるまで周知させてほしいもの。これ以上不幸な結果を招かないために。