クロベンケイガニは一昔前を知るか

寄生虫学会のため米子へ。今日はサテライトミーティングに出席。
まずは東大Sさんの学位論文の発表会、ヒラメの単生類が宿主に与える影響についてのお話である。1993年に初めて日本で発見された移入種とのことだが、移入経路はわかっていないらしい。感染ヒラメのスタミナを測る方法(網カゴに入れて斜め下から水流を当て、ヒラメが着地できないようにむりやり泳がせる)はかなり工夫したものであろう。実験に使われたヒラメには相当気の毒ではあるが(笑)。
2題目は神戸女子短大Y先生の大平肺吸虫のお話。この吸虫は第一中間宿主ムシヤドリカワザンショウガイ、第二中間宿主クロベンケイガニ、終宿主はイタチなどの哺乳類である。その話の中で、文献に出ていた話としてクロベンケイガニが15年ほども生きるということを言われたので驚く。潮間帯カニの寿命ってそんなに長いのか!?
寄生虫学会には潮間帯の貝やカニを扱っている人が結構いる。今回、例の増田さんの貝類図鑑を持っていったら、興味を持った人がかなりの人数出てきて、目黒寄生虫館などは3冊購入するそうだ。これは売り上げにだいぶ貢献してしまったので、こんど増田さんに会ったら宣伝料を請求しよう(笑)。それから、ついでにムシヤドリカワザンショウについて述べると、この名前は寄生虫がいることにちなんでつけられたものと聞いていたが(種小名はparasitologica)、増田さんの本には「殻に虫食い状の模様があるのでこの名前が付けられた」とあったので「?」と思っていた。今回学会で確認したところによると、大平肺吸虫の生活環を調べられた吉田幸雄先生が、感染実験の最中に、普通のカワザンショウガイは感染せず、ムシヤドリカワザンショウだけがよく感染することに気がつき、黒田先生に送ったところ新種ムシヤドリカワザンショウと命名されたとのことであった。増田さん、寄生虫学会での売り上げを伸ばすために訂正してね。
サテライトミーティングは夜が本番、「百本の会*1」と称される怒濤の飲み会である。

*1:かつて十数人の参加者でお銚子百本空けたことに由来する