やる気あんのか

大学の人権問題員会(今年度最後)で、大学の「ハラスメントの防止等に関する規程」の改正案の審議。国からの指導で事業者はこの規程を整備しなければならないことになっているが、今回はパワー・ハラスメント防止のための雇用管理上講ずべき措置等が義務化されたことに伴う文面の改正である。たとえば、今までパワハラは「しないように注意しなければならない」と努力義務だったのが、今回の改正で「してはならない」という禁止事項に変わった。これに伴い、少し前の委員会で改正の事務局案が提出されたのだが、委員会で見たところまだいろいろ不備があるようだったので、全学に意見募集をして再度見直すことになり、今日はその2度めの事務局案に対する委員会ということになる。

ところで、学内から「パワハラの対象は職員だけではなく学生もあることを明記せよ」という意見で多く出されていた。ところが、今日の改正案は旧のままで、「学生」という対象は入っていない。事務局の説明では、規程の最初にある定義で教員対学生の場合は「アカハラ」、職員対職員の場合は「パワハラ」なので、被害者が学生の場合は「アカハラ」のカテゴリーでカバーされているから対象に一々「学生」と書く必要はない、ということだった。しかし、「規程」に示されたアカハラの例は、指導における問題行為など大学独自のハラスメントばかりで、威圧や強制というパワハラ的なものは入っていない。これでは「本学は学生へのパワハラ的行為はパワハラとして取り扱わない」と宣言しているかのようだ。また、規程案には「職員以外に対してもパワハラを行ってはならない」という項目はあるので、「パワハラは対職員の行為を指す」という変に狭い定義が貫かれている訳でもない。それで、本学で学生への「アカハラ」と呼ばれる行為の中にパワハラ的なものも含まれることを明示するよう、具体的に例示するか、もしくは「パワハラの例として挙げられたような行為も含まれる」と加筆するように意見を述べた。

それから、先の原案ではパワハラ防止への心構えを述べた文章の中に「…互いの人格を尊重し、パワー・ハラスメントを行ってはならない」というのがあったので、そこに「互いの人権・人格を尊重し」と「人権」を入れよ、という意見も出されていたが、今日の原案では相変わらず「人格」だけになっていた。なぜ「人権」を入れないのか?という質問に対する返答は「最初の条項に『人権・人格』と書いてあるからここで書く必要はない」という答えだった。重要な心構えなら繰り返して書いても構わないのになぜ「人権」という語を入れないことにこだわるのか(何度でも言うが、ハラスメント対策に必要なのは道徳ではなく、人権教育だ)。上部から示された改正案例そのままに、できるだけ少ない修正で、上や周囲からのクレームに対して言い訳できるような規程案を作ろうというお役所態度が見え見えで、だんだん腹が立ってきた。現時点で最良の規程を作ろうという気概はまったく感じられない。ウチの事務局は全員が大学プロパーではなく、県庁から回されてくる人も多いので教育現場に対する熱意がある人ばかりではないだろうが、採用とか異動の際にはもう少し、教育に対する意識調査をした方がよいのではないか、と思った。

※といっても、ウチの事務局の大半の職員の方は、国立大学に比べると圧倒的に数が少なく、残業も非常に多い(これはこれで大問題ですが)の中で非常によくやってくれています。県大卒業後にそのまま事務局に就職した、母校大好き職員もたくさんいます。ここまでお役所仕事なケースはあまり見たことがないので、余計に腹が立ったのかもしれません。