奥深き湖北

明日の集中講義を担当していただく応用生態工学の専門家K口さんが来彦され、一緒に湖東〜湖北の自然再生現場などを見て回りました。

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オオサンショウウオ生息河川では、サンショウウオが登れるように段差を解消し、斜道型の魚道が作られています。スロープが緩く、真ん中には浅めの階段式魚道も作られて、魚もサンショウウオも好きな場所を選んで通れるようになっています。

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ここは半分のみの魚道。こういう形だとどうしても右側の袋小路に迷い込む個体が出てくるので、なぜ半分だけ?と思いましたが、中に人が観察可能な人工巣穴が仕込んであるそうです。左の玉石を付けた部分はコンクリートが少し斜めになっていて、水量が少ないときは水流が片寄るようになっています。こういうちょっとした魚道の工夫が生物にとっての使いやすさを大きく左右するはずです。

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ところで、魚道視察中になんと軽トラにオオサンショウウオを積んだ方が出現。地元のオオサンショウウオ保護会長のO山様で、ちょうど調査を終えた個体を放逐するため川に来られたところでした。間近でオオサンショウウオを見せていただいて嬉しそうなK口さん。

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O山さんのご厚意で、川近くのご自宅を案内していただきました。ご自宅には現役のカワドがあり、大きなコイが泳いでいました。このコイは水路内で繁殖させて維持しているとのこと。この集落には昔から、全戸にこのような水路が引かれているそうです。いわば昔から上水道完備だった訳で、非常に水に恵まれた暮らしであったことがよくわかります(もっとも、このような水路を備えた集落は滋賀には珍しくありません)。

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オオサンショウウオを放逐するO山さん。

O山さんからオオサンショウウオ保護の取り組みについて沢山のお話を伺ううちにすっかり時間が経ってしまいましたが、幸運にも本当に面白い経験をさせていただきました。こういう方に偶然に巡り会えるところが滋賀の奥深いところです。