10年ぶりの再訪

5月に急逝された日本ハンザキ研究所の前所長・栃本先生を偲ぶ会に列席するため、10年ぶりに日本ハンザキ研究所を訪れました。先生とは福岡教育大時代から面識がありましたが、ハンザキ虫ことLiolopeの研究に当たって大変お世話になり、共著論文も出させていただきました。彦根から片道所要4時間、近畿地方を端から端まで横断する旅です。

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祭壇は研究所スタッフのみなさんが前日にハン研周辺の山で集めた植物で手作りされた、野趣あふれるものでした。とても素敵です。

 

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ミニアクアリウムで飼育展示中のオオサンショウウオ幼体。5歳ぐらいと思われます。つぶらな目がかわいらしい。

 

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ハン研は廃校になった旧黒川小学校を利用したもので、職員室はオフィスに、教室は図書室や展示室になっています。栃本先生による地元の生物標本コレクション。オオサンショウウオのみならず、目につく物は何でも興味を持って調べておられたようです。

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特に充実しているのがキノコ類のコレクション。公立の博物館でも、これだけを揃えているところはあまりないのではないでしょうか。

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ハン研周辺で採集されたキノコだけでもこんなにたくさんあります。

 

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オオサンショウウオのグッズコレクションの展示室。各地のポスターや幟旗、Tシャツ、ポストカードなど。

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そして圧巻の書庫。オオサンショウウオ研究関連のみならず、実に広い分野の文献を収集し、きちんと整理しておられました(寄生虫・魚病関係もしっかりと)。各分類群の生物の図書・文献はもちろん、オオサンショウウオの登場する小説類からマンガ、随筆等ももれなく収蔵されていました。

前回、2009年のオオサンショウウオ研究会朝来大会に参加して以来のハン研で、栃本先生没後の再訪となってしまったのはとても残念でしたが、今日は関係者の皆さんからたくさんの思い出話を聞かせていただきました。オオサンショウウオは寿命が長く(最低でも50年以上で、100年以上という説もある)、先生のライフワークだった個体群研究はまだ研究継続中です。おそらくあと100年ぐらいすれば、栃本先生を初め歴代のオオサン研究者の壮大な連名論文が出ることになるのでしょう。それまで研究を途切れさせることなく受け渡していかなければなりません。