あかん専門書

大学院の授業で、昨年出版された「The long-term fate of invasive species」という本を輪読している。ところが、アルゼンチンアリの章(ヒアリ絡みで学生も関心があるかと思って選んだ)を読んでみたら、門外漢でも明らかに事実でないと分かることが書いてあって、どうもこの本、かなりいい加減な内容であることがわかった。

「日本の北海道に1990年代半ばにアルゼンチンアリが侵入した」と書いてあるが、北海道にはまだアルゼンチンアリは侵入していない(国立環境研究所データベース)。引用文献は1979年に東正剛さんと山内克典さんが書いたエゾアカヤマアリのスーパーコロニー論文(出版年を1997年と誤って記載)だった。論文の対象種も出版年も間違って引用している訳である。他にもまだありそうなので現在確認中である。この本、海外でのアルゼンチンアリによる生態系被害に関する文献の「かなりの部分が誤引用や孫引き」と懐疑的な論調なのだが、ものすごいブーメランを放っている。

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The Long-Term Fate of Invasive Species: Aliens F