学部のセミナーで、ウチの学科に今年着任したKさんと、その前職場の某県衛生環境研究所のSさんの講演。Kさんは大気汚染が専門で、PM2.5の話。PM2.5は広域汚染の分も少しはあるものの、大部分はローカルな発生源から来ており、道路粉塵や野焼き、自然由来と推測されるものが大部分らしい。Sさんは地方の衛生環境研究所における環境教育の取り組みについて。この話題は私も非常に興味があるので、セミナー後の飲み会でもあれこれ質問をした。環境問題は幅が広いために専門家ではない学校教員がカバーするのは難しい場合があること、教科書は執筆から認定を経て出版までに数年を要するため、リアルタイムで変化している環境問題に関しては、記述は”時代遅れ”になりやすいことから、学校での環境教育は、何らかの形で専門家とのタイアップが望ましいと思っているのだが、都道府県の衛生環境研究所は協力機関の有力な候補である。ところが、全国に70ほどある研究所のうち、Sさんの職場のように環境教育に積極的に取り組んでいる研究所は、5、6箇所だそうだ。Sさん曰く「公害問題が昔のように重大ではなくなってきたので、衛生環境研究所の存在意義が問われるようになっている」ということなのだが、それならば、「環境教育の一旦を担う」ことも公的な職務と位置づけて、スタッフにも教育の専門家を入れればよいのに、と思う。