お客様

以前,U川で何度かお会いしたことがある大阪の釣愛好会のYさんがお見えになった。同じ愛好会の会員で,日本一の鮎釣り名人(あとで調べたところ、掛け値なしにそうらしい。1年に4千尾を釣るそうである)のMさんもご一緒である。お二方は今、川に魚を戻す会の設立準備をしておられて、その一環として以前現場で会ったことのある私のところへ来られた訳である。私は魚類研究者ではないのでお話しできることには限度があるが、魚病のことなどに関して,自分の分かる限りの情報は提供した。
U川はもともと寒バエ釣りの名所であるが、近年のオイカワの減少は確かに著しいようである。私も腹口吸虫の調査を始めてからもう16年通っていることになるが、当時はそこら中にいたハエ釣り師が、7, 8年前頃には工場の温排水流入部など2箇所だけに固まるようになり、4年前の洪水とその前後から始まった掘り下げ工事で河床が変化すると、ほぼいなくなってしまった。魚が釣れないのでだれも来なくなってしまったのである。ビワコオナマズをもらいに行っていた毎年5月の漁協主催釣り大会も,昨年ついに中止となった。U川に限って言えば腹口吸虫の被害、カワヒバリガイの増加による水生昆虫の減少、洪水とその後の改修工事、天ケ瀬ダム再開発事業による河床の荒れなどが複合的に影響しているものかと思うが,今日のお話だと支流のK川でもオイカワが減少しているらしい(ちなみにアユは好調な由)。他の魚は無事でオイカワだけあちこちで減少しているのがもし事実なら、何かこの魚種限定の減少要因があるのかもしれない。しかし、オイカワのような非経済魚種の生息量を示すデータはなかなか存在しないので、さてどうしたものか。
ところで話をするうちにMさんの方が突然「先生、M地D三郎やK鍋H也は知っているの?」と言われた(さすがは鮎釣り師である)。知っているもなにも、その研究室出身ですと答えると「世間は狭いなあ,うっかり悪口言えへんなあ。」いえいえ、がんがん悪口言っていただいて構いませんよ。