kumageraさんのコメントに対して

これは国内の種内変異ではありますが、一種の外来種問題です。外来種問題を扱うときに一つ重要なのは、確かに外来種問題にはそれを持ち込んだ当事者が存在しますが、当事者の責任を追求するだけでは問題は解決しないということを弁えておくことです。これが公害問題と違うところで、公害は発生源がなくなれば止まりますが、外来種は移入経路が断たれても(一度定着した種は)存続するからです。しかも、外来生物を導入した時点では、普通、将来生態系に悪影響を与えるかどうかなど予測できません。更には、1960年代の移入なら、ゲンジボタルに地理的変異があるとまだ知られていなかった時代ではないでしょうか。過去によかれと思ってしたことが後で間違いだとわかっても、それを認めるのには抵抗があるものです。
ですから、もしまだご当地で、在来系統とは異なるホタルの養殖放流が継続されているのなら、それは中止しなければなりませんが、同時に、既に定着してしまった外来系統をどうするか、また、在来系統の復活・保全は可能かどうか、検討していかなければなりません。むしろこちらの方が重要でしょう。
ホタルの増殖が、しばしば環境保全目的ではなく、観光資源や町おこしとして行われている現状は確かにその通りですので、時間はかかると思いますが、なぜ地元のホタルを大切にする必要があり、他地域の個体を放流するべきでないのかを周囲にわかりやすい言葉で説明して、賛同者を増やしていくより他ないでしょう。地元の教育関係者や新聞社とよく話して、地域にそういう雰囲気を作っていくことも必要かもしれません。長期戦になりますから、くれぐれも焦らないで下さい。